雨谷の庵

[0395] おとうさんと呼んで (2003/12/03)


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いっそパパにするか。

自分の父親や母親をどういった名称で呼んでいるのかということはご家庭それぞれに異なって
いることであり、それはそれぞれのご家庭の方針なり成り行きなりが積み重なった結果の表れと
考えるべきものであり、そういう観点からすると呼称もそれはそれで一つの観察ポイントとして
重要な地位を占めているものであるのかもしれないなぁと思ったりもする。
ちなみに誰にも聞かれたことはないのだが勝手にここで告白するならば、私は両親のことを
「おとうさん」「おかあさん」と呼んでいた(し、今もそう呼んでいる)。
これは日本ではポピュラーな呼称では無いかと思っているのだが、最近は「パパ」「ママ」の
方が多いのであろうか。
そこら辺の統計を誰かがとっていたりするのかどうかについては浅学にして知らないのであるが、
実際のところはどうなのだろう。
でもまあよくよく考えると、同じ家庭でも兄弟ごとに呼び方が違っていたりするケースもあったり
するだろう。
例えば、私の下の弟は確か、母のことを「くそばばぁ」と呼んでいた時期があったような気が
しないでもない。

一方、妻の人の実家ではどうであったかというと、やはり「おとうさん」「おかあさん」派で
あったようである。
妻の人の妹の人はたまにふざけて「パパ」「ママ」を使うことがあるのだそうだが、大体は
統一して「おとうさん」「おかあさん」派であるようだ。
そのせいもあるのか、それとも個人の何らかの信念に基づいているのかどうかは分からないが、
妻の人も自分の子供には「おかあさん」と呼んで欲しいようである。
妻の人の弟の人は実際に、自分のことを「おとうさん」と呼ばせるべく日々二人の娘に対する
努力を続けているとのことである。
だがどうなのだろう。
「おとうさん」「おかあさん」と呼ぶよりは、「パパ」「ママ」の方が音節が短く、赤ちゃん
言葉的には馴染みが良いような気もしないではないから、早くに覚えさせることを主眼に
科学的に考えるならば「パパ」「ママ」派の方が優れているとも思えてくるのではあるが。
いやしかし、もしかするとこの両親の呼称問題と言うのはどう呼んで欲しいかという親側の
意識の問題であって、子供的にはどちらであっても大差ない話であるのかも知れない。

さて、自分の実子からの呼称というのは教育する過程でいくらでも時間をかけて対応可能な
問題であるからそれはそれでおいおいゆっくりと議論を重ねるにしても、呼称問題には
それとはまた別の側面があるということに最近気づかされることになったのである。
私個人としては余りにも手に余る問題なのでここで広く公に愚痴っておこうと思う。
例えば、私には実弟がいるわけであるが、彼が私の妻の人を呼ぶ際の名称について思いを
馳せてみて頂きたい。
一体、彼は何と呼ぶべきであろうか。
普通に考えるなら、ここは「おねえさん」か「(実名)さん」の二択だろう。
「おねえさん」の場合、ここは義理の関係であるから漢字では「お義姉さん」とでも表記すれば
良いのであろうか。
一方、妻の人からすればこれは簡単で単に弟のことを「(実名)さん」と呼べば良いだけの
話ではある。もちろん「〜くん」でも構わないだろう。
ただまあ実際には弟の場合、妻の人のことは「(ハンドル名)さん」と呼んでいた期間が比較的
長かったので、いまでもそのままの呼称を用いていたりするのだが。
一方、妻の人の方は弟のことを私と同じく「垣ノ木師匠」と呼ぶことが多いのだが。
いや、たまに「ギャルーン14歳」とか呼んでいる光景も目にしたりもするが。
ていうか、もう14歳を自称するのは止めて頂けませんか>垣ノ木師匠

え〜、特殊事例を例に挙げてしまったので話が横に逸れてしまった。
本題に入りたいと思う。
私が今悩んでいるのは、妻の人の両親の人々に対する私からの呼称の話なのである。
結婚前も結婚後も、私は妻の人の両親の人々に対して「(実名)さん」という呼称を貫いて
いるのであるが、どうやらそれがご実家の方で少々議題にのぼっているらしいのである。
義母の人の方は特に問題視していなさそうということのようなのであるが、問題は義父の人の
方である。

「あれかな。徳田さんはもう僕の息子なんだから、僕は徳田さんのことを雨窓くんと呼ぶのが
 いいよな。それに雨窓くんは、僕のことをおとうさんと呼んだ方がいいよな」
 (※上記ではハンドル名にしてますが、実際には本名の方です。脳内変換して下さい)

「おとうさん」である。
「おとうさん」と呼んで欲しいらしいのである。
いや話の主旨は非常に理解の範疇なのであるが、普通そうした話題は周囲に触れ回ったりせずに、
こう、自然と成り行きでそのようになるのを見守るとかそういう筋合いのものではないかと
思わないではないのだ。

「いつになったらおとうさんと呼んでくれるのかな。楽しみだな」

しかも楽しみにしているらしいのである。
また、これがちょっと回りくどいのであるが、上記のような話は私に対してだけは直接言わない
ようにしているらしいのである。
しかしその分、義母の人や妻の人には今か今かと待ち続ける心境を語るのだと言う。
私たちが結婚して一ヶ月もしないうちに、そういう状態に陥ってしまっているのだそうである。
そして今や結婚してから三ヶ月以上が過ぎ、義父の人の私に対するわくわくした気持ちは
募るばかりなのだという。

「今日も雨窓くんは僕のことをおとうさんと呼んでくれなかったよ……」

私たちが妻の人の実家に遊びに行った日の夜には、義父の人がそういってしょんぼりと落ち込んで
しまうのだそうである。
それを義母の人から伝え聞いた妻の人まで、最近は私に「早くおとうさんと呼んであげたら?」と
横槍を突きつけてくる毎晩である。
世の中には「お前なんぞにおとうさんと呼ばれる筋合いは無いっ!」という台詞が存在することは
以前から聞きかじっていたりもしたのであるが、「おとうさんと呼べっ」という話は聞いたことが
無いような気がするのであるが、どうなのであろうか。
いやしかし、私の方も義父の人を落ち込ませるのは心苦しいし、別に「おとうさん」と呼ぶことに
何かしらのこだわりがあるわけではないから、いつの日かは自然にそのように呼ぶ日が来るだろう
とは思うのであるが、これ程期待されていると知ると、どうも気恥ずかしいというかなんというか
今更ながらに頭を抱えている次第なのである。

困ったなぁ。

雨谷の庵は今日も雨。
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管理者:徳田雨窓