雨谷の庵

[0376] ローテンブルクでは武器 (2003/10/10)


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新婚間抜けドイツ紀行その7。

バンベルクの新宮殿からダッシュでバスに乗り込んだものの遅刻、そのせいではないと思うが
私たちがローテンブルクに到着したのは夜も更けてからのことだった。
ローテンブルクで用意されていたホテルは非常に居心地のいい広々としたホテルでちょっと
びっくりしたのだが、しかしまあ例によって夕食は各自でという形式だったので、私たちは
早速夜の街へと繰り出すことにした。

領主司教の街であったヴュルツブルクやバンベルクなどとは異なり、このローテンブルクは帝国の
自由都市として栄えた街である。
もともとのこの街の領主であったローテンブルク伯が早くに断絶したためその居城は残っておらず、
都市全体が城壁で囲い込まれている城塞都市の体裁となっている。
とはいうものの、ローテンブルクの旧市街自体は周囲3kmほどの小さな区画なので、城壁と
いってもそれほど物々しいものではなく、どちらかと言うと風情ある壁といった趣であった。
ローテンブルクの街は大戦によって半分が消失したらしいが、今は昔ながらの街並みを再現し、
観光の名所として親しまれているようである。
ただ、私たちが宿泊したホテルもそうなのであるが、外観は昔そのままであっても内装は非常に
近代的なものに作り変えられており、生活に不便であるとかそういうことは無さそうだった。
ただ一つ、昔ながらの石畳がでこぼこした街路は歩き難く、何度もでっぱりに躓いてこけそうに
なるのだけには閉口させられた。

その夜もヴュルツブルクと同様に、たどたどしい英語を駆使してレストランで食事を取った。
今回は席が混み合っていたためか、地元の男性と思われる、白髭の印象的なダンディと合い席に
なり、少しだけ戸惑ったりもしたがそれもまた旅の楽しみの一つかも知れない。
ちなみにそのダンディはとても親切で「何か困ったことはありませんか?」などと声をかけて
くれたりもしたのだが、慣れない私はうろたえて「このビールはどんな種類ですか?」という
ようなトンチンカンナことを聞いてみたりもしてしまった。
ダンディはそんな私にも至極生真面目に「これは特にどうと言うことの無い、この辺ではよく
見かけるビールだと思います。少し、苦味が強いかも知れませんが」などと丁寧な回答を
返すのであった。ああ、ドイツ万歳。
なおダンディが言う通り、ローテンブルクでその晩飲んだビールは、日本のそれに比べて
味わいの濃い、苦味の効いた喉越しであった。

レストランでの食事を済ませた後、ちょっと街を歩いてみようかということになった。
流石に街並みの古さを売りにしているだけのことはあり、ローテンブルクの雰囲気はまるで
御伽噺の中に彷徨いこんでしまったかのようなそれだったので、散歩も悪くないというのが
二人で一致した意見だったのだ。
街を囲む城壁や、門の上にそそり立つ見張りの塔、お土産屋さんが立ち並ぶ街路などを
当ても無くふらふらと見て回る日本人二人組。
ただ、同じようなことを考えている人は他にもたくさんいたようで、私たち以外にも夜の
ローテンブルクを彷徨い歩く日本人連れには何度も遭遇した。
同じツアーの人とも、何人かすれ違った。
外国の街を夜に出歩くのは危ないというイメージをお持ちの方もおられるかと思うが、
ヴュルツブルクにしてもこのローテンブルクにしてもドイツでは田舎町といった感じであり、
治安はそれほど悪いわけではないのだそうである。
特にローテンブルクは観光地として整備されているので、治安の面では日本とほとんど
同じくらい落ち着いていると言っても過言では無さそうだった。
これがベルリンやフランクフルトなどの大都会になると話はまた別であるようで、そういう
都市部では昼間でもスリや置き引きに注意が必要であると、添乗員さんから注意を受けた。
まあ、日本でも池袋や新宿、渋谷といった都心では同じような話であるわけだが。

例によって店はことごとく閉店していたのだが、ショーウィンドウは外から眺めることが出来た。
翌日の自由時間にお土産を買い揃えておくつもりだったので、今のうちに店に当たりをつけて
おこうとも思い、二人でショーウィンドウを覗きながら歩くことにした。
ドイツのお土産といえばすぐに思いつくのはソーセージ類やビール、ワインだが、ソーセージは
検疫がOKなのかどうかが微妙な気もしたし、ビールやワインは重い上に関税上の本数制限が
あるので、なかなかそればかりを買っていくというわけにも行かない。
まあ、同じツアーの人の中には帰国時のスーツケースがお酒(ビール9本、ワイン3本)で
埋め尽くされていた人もいたので、こっそり持ち帰ることはできるのだろうが。
ちなみにその人のスーツケース、行きは空っぽ同然であったそうである。酒専用スーツケース。

それはともかく。
妻の人は道々、お菓子屋やクリスマス装飾の店などの位置を確認していたようだ。
ローテンブルクにはシュネーバーレンという名物的なお菓子がある。
パン生地を幅3cm、厚さ5mmほどの帯状に延ばしたものをぐねぐねとソフトボール大にまとめて
それを油で揚げたもので、その表面を砂糖やチョコをコーティングしてみたり、アーモンドの
粒をまぶしてみたりして甘く仕上げている。1つ1.5ユーロくらい。
妻の人はそれを買って帰りたいと、事前から考えていたのだと言う。
クリスマス装飾の店というのは、クリスマスツリーを飾るための飾りを売っているという、まあ、
そのまんまの店なのであるが、細かな木細工の飾りやガラスのそれなど、日本では売られて
いないような様々な装飾品が年中売られているのだそうである。
ちなみにドイツは敬虔なキリスト教の国であるから、クリスマスの前後の日はお祭り騒ぎはせず、
厳粛な雰囲気に町中が包まれるのだそうである。
ただ、クリスマスの1〜2週間前は祭りっぽい華やかな雰囲気を楽しめるそうで、もしも
そういうドイツを見てみたいのであれば、12月の上旬に旅行を組むのが良いらしい。
クリスマス当日に来て、その厳かさにがっくりする人も時々居るそうであるので注意が必要だ。

ところで私の方は何をしていたかというと、武器である。
どういうわけかローテンブルクでは武器屋を多く見かけるので、そのショーウィンドウに
見入っていたとかそういうことである。
もちろん、そこで売られている武器が本物であるわけはないのであるが、しかし、ファンタジー
小説さながらの剣や斧、槍、はてはモーニングスターやメイスなどの様々なものが陳列されて
いるのを見ては放っておけないのがゲーマー(←?)の性ではないだろうか。
ちなみに実物大の剣はだいたい100〜300ユーロ、斧もだいたいそれくらい。
槍やメイスの類はそれよりちょっと安くて200ユーロ前後、一番高いのは甲冑ワンセットで
約1000〜2000ユーロであったように記憶している。

 私「いいなぁ。鎧、欲しいなぁ」
 妻「買えば?どうやって持って帰るつもりなのか知らないけど」(←こういう時は冷静)
 私「着て帰ろうかなぁ」
 妻「凄い勢いで空港で引っかかるんじゃない?」(←むしろ冷淡)

まあ、20万円もするような鎧なんて今の時代必要ない(←?)し、第一、ウチは狭いので
置く場所も無いということで諦めた。

次の日、妻の人は予定通りお菓子とクリスマスの飾り、そして妻の人の母の人が「欲っしぃ」と
かねてから連呼していたマイセンとかいう陶器メーカーの紅茶カップを買っていた。
私の方はやっぱり武器が欲しくなり、我慢できなくなって幾つか買ってしまった。安物だけど。
鎧は買わなかったけど。

その日はローテンブルクの大聖堂と、中世犯罪博物館を勝手気ままに見学した後、次の目的地
フュッセンまでバスで移動。
一泊した後は、いよいよこのツアーのメインであるノイシュヴァンシュタイン城観光である。

雨谷の庵は今日も雨。
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管理者:徳田雨窓