雨谷の庵

[0371] ローマに続いた古街道 (2003/09/30)


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新婚間抜けドイツ紀行その3。

ええと、少しはまじめに観光の話を。
前にも書いたが、私たちが新婚旅行として参加したツアーは、ロマンティック街道をメインと
したパックツアーなのである。
ロマンティック街道の名前の由来が「ローマへ続く道」ということも既に書いた。
ロマンティック街道が南北に続くドイツ南東部のバイエルン地方に、もともと住んでいたのは
ケルト人であったようである。
それがローマ帝国の拡大に伴ってローマ人が入植してくるようになり、幾つかの城砦都市が
建設されることとなったらしい。
例えばバイエルン地方では最古の街とされるアウグスブルクは、西暦元年の頃にはすでに、
ローマ人の街として栄えていたようである。
それらの都市をつなぎ、ローマに続いた古街道が今に至ったものが、ロマンティック街道と
いうことのようである。
西暦375年頃のゲルマン民族の大移動によって西ローマ帝国が崩壊するとともに、バイエルン
地方にフランク王国が建国されることになるのは高校とかでの世界史でも習うことであるが、
その後は神聖ローマ帝国のお膝元となってみたり、宗教戦争でカソリックとプロテスタントが
対立してみたり、北のプロイツェンに服従してみたりとまあ、この街道沿いの街は色々な
変遷を経ることになるわけである。

そんな多彩な歴史を反映した、様々な建築物を見ることが出来るのが、ロマンティック街道
巡りの醍醐味と言っても過言ではないだろう。
なので、もしもこの地方を旅行する機会に恵まれたなら、事前にある程度の歴史の知識を
仕入れておくと、面白さも3倍増し(当社比)である。
現在残っている建築物では、今から約500年前の神聖ローマ帝国の時代、文化的にはルネサンスの
頃のものが最も古い部類になってくるようである。
歴史の経緯からして、見所となる建物はだいたい以下の四つに分類できるような気がした。

○城砦
歴史の古い街道であるから、その要所には城砦が点在している。
それらは大抵、ぼろぼろの廃墟になっているのだが、中には修復されて観光用に公開されて
いたり、古城ホテルとして営業していたりするものもあるようである。
私が今回見た中では、ヴュルツブルクのマリエンベルク要塞やフュッセンのホーエス城がそれに
該当するだろうか。
ロマンティック街道沿いではないが、古城街道沿いのハイデルベルク城や、ライン川クルーズで
沿岸に見えた数々の城もまた、城砦に分類できると思う。
城砦のほとんどは街の中心からは少し離れた小高い丘の上に建てられていて、そこから見下ろす
街の風景は絶景である。
今回は城砦の建物の中には入っていないので様子は分からないが、外から見た感じでは実用性
重視の無骨な造りであったような気がする。

○宮殿
軍事施設の色合いの濃い城砦に対し、宮殿は街の中心部に建てられており、行政府として
機能していたようである。
もともとは城砦が行政機能も担っていたようなのだが、時代が進むにつれて行政としての役割を
担うには街から離れすぎて不便であると判断されたのだろう。
であるから、たいていの宮殿は街の中心部に建てられており、その前には大きな広場が設けられて
いるようだ。
今回見た中で該当するのはヴュルツブルクのレジデンツとバンベルクの新宮殿だろうか。
いずれもバロック宮殿様式という建築手法のものらしく、接客の間から家族の間、王の寝室までの
各部屋を一直線に扉が結ぶという間取りだった。部屋の並び順も同じ。
映画「アマデウス」に出てくるような宮殿を想像してもらえば、まず間違いない。
城砦に比べると宮殿は、時代的にも新しいせいもあって豪華で見所満載であった。
ちなみに、私たちの今回の旅行の目的地であるノイシュヴァンシュタイン城は、立地的にも
機能的にも城砦系の建物なのだが、その内部は宮殿系の派手な様式であるという、非常に趣味
ちっくなシロモノであることをここに書いておこう。

○寺院
ヨーロッパの中世というのは西ローマ帝国の崩壊から宗教改革までの約1000年くらいを
指すわけだが、その間のバイエルン地方は敬虔なカソリックの地であったようだ。
まあ、神聖ローマ帝国のお膝元だし、当然といえば当然ではある。
そのためか、この地方の街には比較的歴史の古い寺院が数多く存在している。
寺院の中でも、街の中心部にあるものはたいてい巨大で、その大聖堂のただっぴろさは見ていて
びっくりせざるを得ないと言い切ってしまいそうなほどである。
ただこの地方には宗教改革以降、街ぐるみでプロテスタントに改宗した街もあり、そうした
街の寺院は、カソリック当時の豪華さを極力排除した、実用ベースの素朴な内装に改修されて
いるのだそうである。
まあ、プロテスタントの寺院でも、私たち日本人から見れば立派なものが多いが。
寺院は街に必ずあるので、それぞれの寺院を見比べるというのも面白いかもしれない。

○街並み
歴史の古い街の多いのが、ロマンティック街道界隈の特徴であるから、それぞれの街そのものも
また、見所の一つである。
ガイドさんの話では、日本人に人気のある街といえばローテンブルクだそうである。
実際、ローテンブルクの街並みは中世の頃のそのままを維持されているとのことで、とても
趣深いものであった。
ドイツでは古い街並みを維持するために、建物の建築と改修には厳しい制限が設けられて
いるそうである。
壁を塗り直す際には、以前と同じ色にしなければならないとか、屋根の瓦の色と材質が街ごとに
統一されているとか、そういうレベルで統一を図っているようなのだ。
ローテンブルクのような名所でなくとも、それぞれの街にそれぞれの特徴があり、それが
個性となって情緒を形成しているようにも思えてくる。
また、街を旧市街と新市街とに分けていることも多く、近代的な建物が並ぶ新市街から一歩
旧市街に足を向けると途端に中世世界にタイムスリップしたような気分にさせられることもある。
ただ、旧市街はその石畳も中世のままになっており、かなりでこぼこしていて歩き難いという
欠点もあるのだが、それはご愛嬌というものだろう。

まあ、それぞれの細かな思い出は、思い出した順にちまちまと書き綴って行こうと思う。
ということで、まだまだこのお話は続くのである。
ネタの引き伸ばしとか言うな。

雨谷の庵は今日も雨。
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管理者:徳田雨窓