雨谷の庵

[0352] 地球の未来は僕に (2003/06/05)


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捨てる神あれば拾う神あり。

助けてプリーズと冗談で書いたら、なんと「くださいっ!」と名乗り出てきた馬鹿者…いや、
もとい好青年がいたので、有り難く申し出を受けることにした次第である。
何のことを書いているかというと、以前にここで書いた「エロ年代記」のその後についてである。
その馬鹿…いや、好青年は現在切にエロを望んでいるとのことであり、彼が私に書き送ってきた
書簡には、彼の脳内から迸るイヤな色をした思念波がみちみちと漲っているかのようであった。

「センパイ、地球の未来は僕に任せてください」

彼の主張によれば、こうである。
人類は太古の昔より、知識を伝承し続けることによりその進歩を確実なものにしてきた。
その進歩は年間約2〜3%程度という非常にのろのろとしたものでしかなかったが、しかし
それは着実に堅実に積み重なることで今の繁栄を地上に現出せしめたのである。
言ってみれば科学の発達も、哲学の進展も、文化的な創造も、すべては人類が人類として積み上げ
続けてきた過去の所産に基盤を持つからこそ偉大なのであり、それら全てを育む大いなる
知恵の固まりこそが、我々人類が人類として誇るべきものに他ならないのではないだろうか。
しかるに、その全ての母たる固まりを構成し、形作っているものに今思いを馳せるならば、
そこには誰にでもすぐ分かる明解で単純な帰結が存在することに気付くであろう。
ああ、人類とは書籍と共に歴史を積み重ねてきたのであると。
おお、書籍こそは人類を人類たらしめる根幹原理に他ならないのであると。
そう、書籍を無下に廃棄するということは人類が人類であり続ける上で有り得べからざる所業の
それと断言すべきなのである。
書籍こそは先人から後世に脈々と受け継がれるべきものであり、更に言うならば受け継がれること
こそが書籍の本質でありイデアであり永遠なる真正を体現すべき三角形なのである。
その書籍の真なる在り方に従うことこそが人類の未来を正しく形作るための唯一にして無二の
業であり、それはアダムがイヴのリンゴによって堕落したその瞬間から我々迷える子羊に
課せられた宿命以外の何物でも有りはしないのである。

彼のその短い言葉に込められたその限りなく深い含蓄に、私はいたく感じ入った次第である。

ということで。
私の所蔵していたエロ同人誌はその全てをその好青年に託すこととなった。
私は人類の宿命に忠実なる奴隷で有り続けなければならないという非情なる使命感に酔いしれ
ながら、早速黙々と作業を開始するのであった。
ダンボール一箱分にまとめられた同人誌の束を紐解き、まずはそれをエロいものとエロで
ないものとに寄り分けることから始めなければならない。
青年の未来に必要であり、人類の発展を正しく促すものはエロい同人誌なのであり、今回人類は
そのエロのみを正しく継承しなければならないからだ。
この5年間ほどに集めた同人誌はゆうに200を超える(でもこれは少ない方です)訳で有るが、
その中に含有されるエロはその約半数であることが改めて確認されたりなど、私自身を見詰め直す
良い機会になったことはこの際、人類の未来とは関係の無い瑣末な統計結果であろう。
ただ、そのエロ物体の一部には私自身が書き記したものであるとか、私の知り合いが書き記した
ものであるとか、そういった責任事情でどうしても手元に持っておかねばならない、そして
この人生が果てるその時までひた隠しにせねばならない宿業のようなものもいくつか存在して
いるわけで、それらについては継承リストから除外させて頂いた。
あと、これだけは私の煩悩というかなんというか全てを託すと言い切っておきながらその前言を
あっさり翻しているようで実に小市民ぶりを痛感せざるを得ないので有るが、どうしても
手放したく無い、所謂ところの超秘蔵とでも記述すべき継承物が3冊あり、それを握り締めたまま
小一時間、私が暗闇で苦悩していたことは内緒である。
結局、それは継承リストから外してしまった。
個々人の煩悩は、未だ人類の跳躍を心良しとしないようである。

ところで、私の所蔵するエロ的物体というものには、これまで記述してきたエロ同人の他に、
エロゲーなる存在もあるということを、ここをお読みの読者諸賢には既に周知頂けて
いることであろう。
できればこれも未来人類に託してしまいたいところであるが、しかし無断でそんなものを
送りつけられる方も困るのではなかろうかと愚考し、一応、件の好青年にその旨を事前に
問い合わせてみることとした。

 徳田「人類の未来に、エロゲーは必要でしょうか」
 青年「必要不可欠です」

ここにおいて、私のエロゲー資産の全てが彼への継承物となることが決定した次第である。
まあ、私の保有するエロゲーは、そのほとんどが知人から贈られたものであったり、
「これを買わないと人としてどうよ」などと脅されて購入に至ったものであったりという
ものであるから、その品揃えは思い切りミーハーで、数もそんなに多くは無い。
と、ここまで書いてふと思ったのだが、エロゲーを20本くらいを保有しているというのは、
世間的には多い方なのであろうか。
知り合いの中では、私が一番保有数が少ないという認識でいたりするのであるが、それは
実はちょっとおかしな常識の一つであるのかも知れない。
まあ、それはこの際どうでもいい話ではあるが。
ちなみにそういう類の知り合いの垣ノ木某はアリスソフトびいきであり、柳某は所謂ところの
葉鍵っ子(LeafとKeyというブランドの作品を熱愛する人々)であるから、私の保有するそれに
それらが多い(というよりもほとんど全部がそれ)ことが分かったりもして、これまた私自身を
見詰め直す良い機会になったりもしたことは、読者諸賢のご想像にお任せしたい。

ともあれ、それらの人類の未来を形作るべき知恵の固まりは、つつがなく人類の未来を担う
青年のもとへと運ばれていったのであった。
伝え聞くところによると、その固まりを受け取った青年は、喜びのあまりこう叫んだという。

「すごいよ!すごすぎるよママン!!!向こう一ヶ月は飲まず食わずでも生活できちゃうよ!!」

彼の主張によれば、こうである。
人類はいずれ、ママンを連呼しつつ餓死する定めであるようだ。
預言の成就は近い。

雨谷の庵は今日も雨。
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管理者:徳田雨窓