雨谷の庵

[0335] 住宅ローン無料相談 (2003/03/13)


[Home]
私はお金が怖くて堪らない。

「まんじゅうこわい」という落語はあまりにも有名過ぎるのでここでその概略を示すことすら
とにもかくにも面倒であるが、要するにある男を怖がらせるために、お化けがその事前準備と
してその男に「お前はいったい何が怖いのだ?」と問うたところ男は「まんじゅうが怖い」と
答えたのだが、実際には男はまんじゅうが大の好物で、お化けが男を怖がらせるために大量に
取り揃えたまんじゅうをまんまとたらふく食うことができたとかできないとかそういう
トンチの効いたお話であると思っておけばだいたいのところは良いのだろう。

ところでそんな前置きには訳があって、前回ここで書き散らした駄文の結末での彼女の人の
発言の意図を推し量る際に、私の脳裏を件の落語の内容が横切りまくったことをまずは
ここで素直に告白しておきたいと思う次第である。すまんすまん。

 彼女「あちきはマンションが怖いのれす」

つまりはこういうことであろうか。私にマンションを買えと。
今の今まで、私は当然のことだとは思うが、どこかに部屋を借りてそこに入居し、月々の
家賃とか家賃とか家賃とかを支払うことを前提に物件を探しまわってきたわけではあるが、
しかしそれの全ては私の先走りであったとそういうことになるようだ。
つまりあれだ。結婚するからには自分の居住空間を購入という手段によって確保せよと、
彼女の人の卓見なるご意見がいままさに提示されたとここは考えてしかるべきということでは
なかろうかと、私は感じ入ってしまった次第のようである。

しかしながらマンション購入と一言で片付けるのは良いとして、購入というからには
やはりそれなりの前提というか見通しというか、要するに先立つものというものが必要に
なるわけで、果たして今の私にそれだけの大蔵省的素質というものが存在するのか、
はたまた存在し得るのかということについてまずは確認を取っておく必要があるであろう。
ということで、まず私が駆け込んだのは銀行である。要するに金貸しだ。
幸いなことに、今の時期だからなのかどうなのかは分からないのだが、私がいつも愛用して
いる銀行では「住宅ローン無料相談」という看板を大々的に掲げて、住宅ローン顧客の
拡大に尽力している様子であったので、とりあえずはそこを利用させて頂くことにした。

 徳田「あの、ぶっちゃけどんくらい借りることが出きるんすかね?」
 銀行「結構ご融通できますよ」

おおっと、いきなりではあるがなかなかにフレンドリーかつ前向きな答えが返って来た。
銀行の人が言うにはこうである。
住宅ローンというのは、通常の消費者向け金融(いわゆるサラ金)に比べて回収率が高く、
リスクが低いものなのだそうである。
その分金額も多く貸し出すことができるし、利息も比較的安く出来る。
例えば消費者金融では貸出上限は大抵300万、利息は18%〜25%くらいが定番だが、
これが住宅ローンだと上限は5000万くらいまでに跳ねあがるし、利息は逆に1%〜5%程度まで
下がるらしい。
要するに、消費者金融を利用する人は基本的にお金にだらしないダメな人であり取立てを
厳しくしなければやってられんということであり、住宅を購入しようという人は大抵堅実で
ほとんど信用貸しのようなものになっていると言っても良いのかも知れない。
まあただ、住宅購入のローンの場合、物件をその担保に取ることが前提となっていて、
銀行側にとって見れば担保価格の相場の変動だけをリスクと考えれば良い訳だから、
実際は借りる側の信用云々と利息の高さはあまり関係無いのかもしれない。

で、実際にどれくらい借りることが出来るかだが、それは返済期間をどれくらいに
設定するかによって変わってくるもののようである。
一般的な住宅ローンの返済期間は35年が上限で、年齢上限である70歳に引っかからなければ
ぎりぎりまで長く設定する方が色々とお得であるらしい。
例えば、住宅の災害保険は大抵、住宅ローンの返済期間を対象にするものであるから、
返済期間を25年にすると保証期間の上限は25年になってしまうようだ。
ただ、返済期間が長いと長年借金に追われるという印象が拭えないが、実際の返済期間は
繰上げ返済などで普通は短縮されるものであるから、そこのところはあまり気にせずに
契約の当初はぎりぎりまで長く設定しておき、履行の中途で徐々に短縮していくのが
返す側にとっては一番効率がいいだろうという話もあった。
まあそれは銀行のセールストークでの話でもあるし少し割り引いて聞いた方が良いだろう。

さて、では銀行が実際にどれくらい貸してくれるかを計算してみよう。
私の年齢は30であるから、返済期間は最長の35年で計算して良い。
銀行側は長期の貸出リスクを、利息にして4%ぐらいと見ているそうなので、利息は4%の
固定金利を仮定して計算する。
実際の利息は、不景気であれば金融緩和で低金利となり(今がそうだ。だいたい1%前後)、
景気が良くなれば金融引締めで高金利(7%くらいになることもあるそうだ)となるが、
毎年の経済成長はだいたい2〜3%であるから、銀行もそれを考えて4%という見積もり利息を
採用しているのだろう。
年間の返済金額は、借り手の年収の3分の1くらいを目安にするそうだ。
それ以上になると借り手の生活が苦しくなるので、回収率が一気に下がってしまうという、
貸し手の経験則のようなものがあるらしい。
確か家賃の目安も、月収の3分の1程度だったはずで、ここら辺の経験則というものは
結構一般的な常識なのかも知れない。
これらの条件を全て考慮して、私がちまちまと弾き出した計算結果は以下である。

 年収 300万 → 約1900万
 年収 400万 → 約2600万
 年収 500万 → 約3200万
 年収 600万 → 約3800万
 年収 700万 → 約4500万
 年収 800万 → 約5100万
 年収 900万 → 約5700万

ちなみに年収1200万だと貸出上限は約7600万となる。それだけあれば都心で一軒家を
構えることも可能だ。
それはともかく。
最終的には上記の借り入れ金額に、手持ちの資金と親からの贈与分を加えて購入総額を
決めることになる。
住宅購入に関する贈与は特別扱いとなっているようで、550万までは贈与税が免除されると
いうことだが、うちの親がそんな金を持っているはずも無いのでこれはあてにしない。
通常は手持ちの資金と借り入れ金の金額の比率を1:10で考えるのが良いとされて
いるらしいのだが、もちろん私がそんな金を持っているはずもなく、もしもマンションを
購入するとなったらそのほとんどはローンでまかなうことになりそうだ。

 徳田「ということで、横浜でも田舎の方ならなんとかマンションを買えそうです」
 彼女「ふ〜みゅ」
 徳田「ええと、間取りは3LDKが限度になりそうですが、まあいいかなぁと」
 彼女「う〜みゅ」
 徳田「月々の支払は10万くらいになりそうですが、まあ、家賃と思えばいいかと」
 彼女「みゅみゅみゅ〜」

私のこの会心の計算結果に基づく、会心の購入計画に対し、しかし彼女の人はなぜか
不満パンパンな膨れっ面でもって私を睨み上げるのであった。

 徳田「?…あ、あの、どうかしましたか?」
 彼女「びゅ」
 徳田「え、えと。もしかして私の貧乏さ加減に呆れているとか…」
 彼女「びゅびゅびゅ」

なぜか威嚇されてます。

 彼女「あちきはマンションが怖いのれすっ!」

どうやら私は大きな勘違いをしていたようだ。

(続く)

雨谷の庵は今日も雨。
< Back |List| Next >
管理者:徳田雨窓