雨谷の庵

[0333] 様々な思惑がみちみちと (2003/02/27)


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結婚というのはもちろん新郎新婦二人の問題だが、決して二人だけの問題では無い。
そこには関係者の様々な思惑がみちみちと渦巻いているのである。
そんな一例を、今日はご紹介しよう。

[新郎母]
私としては、結婚式とかそういうのは二人の問題なので、二人の好きなようにするのが良いと
思う。ただ、こちらの親戚は各地に散らばっているので、結婚式に呼ぶとなると大変だ。
だから母の希望としては親戚を呼ばない形、例えばハワイとかヨーロッパとかの外国旅行の
旅行先で、二人きりで式を挙げるようなのがいいのではないかと思っている。

[新婦母]
結婚式は親戚一同を集めた形で、ちゃんとした形式に則って行いたい。そうすると最低50人
くらいは招待しないと格好がつかないだろう。親戚の数や新郎新婦の職場の方々、友人などを
含めればだいたいそれくらいの数にはなるだろうし。それに新婦の母としては、娘の晴れ姿と
いうものはやっぱり見ておきたいし、それをつつがなく親戚に披露するのは親としての
つとめだと思う。

[新郎]
取りあえず、結婚式はちゃんとした形のものを行う。仕事関係の人や友人などはほとんどが
関東圏に住んでいるし、挙式の場所は新郎側の地元ではなく、関東でいいだろう。
新婦側の親戚の住んでいる場所や、新郎側の親戚の交通の便などを考えると新横浜の近くが
良いと思う。それなら新婦側の親戚は車で簡単に来ることが出来るし、新郎側の親戚が
新幹線で来るのにも都合が良い。新横浜にはホテルもちゃんと整っているから、
日程によっては宿泊が必要になったとしても問題ないだろう。

[新婦]
結婚式はちゃんとしたものをしたいが、あまり堅苦しい形にはしたくない。幸い、新横浜には
お洒落で小粋なフランス料理レストランがあり、そこは結婚式も受けつけている。
結婚式用のチャペルや控え室も完備していて面倒が無くて良いし、近くのホテルとも
提携していて宿泊の場合も安くしてもらえるようだ。それよりもなによりもそこは料理が
とても美味しいのです。できればそこで式を挙げたいと思う。

[新郎母]
結婚式を新横浜で行うというのであればそれは構わない。ただ、前にも言ったようにこちらの
親戚を集めるのは大変だ。なので、可能であれば新郎側の親戚は代表だけ出席という方向での
挙式が望ましい。その場合、新郎側親族代表は在京の次男というのが筋目的にも良いだろう。
そうすると私は結婚式には出ないということになるが、まあ、別に問題無いだろう。
新郎側親族への新婦の紹介は、おいおい個別に挨拶して回るのだろうし、その時で良いと思う。

[新郎]
新横浜での挙式に新郎側親族は参加しないということは了解した。なら、新郎側の招待人数は
多めに見ても15人程度になり、新婦側とは釣り合いが取れないかも知れない。可能ならば
当初50人を想定していたところを30人程度に絞込み、式の規模を小さめにするということも
考えた方がいいかも知れない。

[新婦]
新郎側の招待人数と新婦側の招待人数の釣り合いというのは気にしなくて良いだろう。もし、
全体の人数が少々足りないとなれば、新婦の友人に心当たりが多数あるので大丈夫だ。なので
人数を減らすというのは考えなくていいと思う。

[新婦母]
新郎側の親戚が来ないというのは残念だ。式云々はともかくとして、娘を今後宜しく
お願いしますという意味で、新郎側の親戚の方々への挨拶はきちんとしておきたい。
結婚式という形式にこだわりたく無いということであれば、それ以外のもっとフランクな
形でもいいから、なんとか機会を持てないだろうか。

[新郎母]
結婚式に参加しない替わりに、地元で親戚を集めた食事会のようなものをすることを
考えている。それは正月や盆などの新郎側の親戚が集る際に行うつもりだ。新婦の紹介と
挨拶はその席ですれば良いと思う。

[新婦母]
筋目から考えると、その食事会はできれば結婚式の前に行って欲しい。あとこれは質問になるが、
その食事会には私たち夫婦も参加していいのだろうか。もし良ければ、こちらの親戚一同も
連れてお邪魔したい。こちらとしては旅行の機会にもなるし好都合だ。

[新郎母]
それには及ばない。新婦だけの参加で良いと思う。

[新郎]
母が何を考えて今回のような形を取りたがっているのかは分からないが、もしかすると祖父の
ことを配慮しての事かも知れない。結婚式は新横浜で行うのが最も良いと母が考えているのは
間違いないし、もちろん結婚に反対しているわけでもない。ただ、祖父は寝たきりで地元から
動けないので、新横浜での結婚式に出るのは無理だ。もちろん地元で結婚式を挙げたとしても
事情は変わらないが、挙式の後にでも前にでも、すぐに祖父へ挨拶に行くことはできる。
なので、親戚を集めた会合のようなものを地元で行うことで、祖父への筋も立つように
したいという思いが、あるのかも知れない。いずれにしても母の意向は可能な限り尊重したい。
結果的に少々変則的なことになってしまい新婦側にはご迷惑をかけることになるかも
知れないが、どうか御理解頂きたい。

[新婦父]
事情はまだ理解しきれないが、取りあえずこちらとしてもそちらの意向の趣旨は理解した。
まず新郎の地元で新郎側の親戚での食事会を行い、その後新横浜で新婦側の親戚とそちらの
代表とでの結婚式を行うというので良い。こちらとしては新郎側の親戚の方々に
挨拶できないのは少々不本意だがそれもまあ急ぐ話ではないし、おいおいということでも良い。
ただ新郎の地元での食事会よりも以前に、私たち夫婦が新郎のご実家に挨拶に伺うのだけは
了解頂きたい。親戚への筋目とかそういうものは抜きにしても、私の、私の娘を大事に想うこの
心だけは事前にちゃんと、新郎の親御さんに伝えておきたい。形式にはこだわらないし、
日取りもそちらの都合に全て合わせる。しかし、これだけは何を言われようと譲りたくない。
なんとかならないか。

[新郎母]
そちらの意向は理解した。少し考えてみるので時間を頂きたい。

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プルルルル…プルルルル…ガチャ。
母「あ、もしもし?私じゃけど」
私「なに?こんな朝早くに。まだ6時ですが」
母「いやあのな、結婚式の件なんじゃぁけどな」
私「うん」
母「私もな、やっぱりそっちに行くことにしたけぇ」
私「はぁ!?」
母「私だけじゃのうて、親戚みんなで結婚式に行くけぇ、よろしくな」
私「いや、それは、向こうも喜ぶだろうけど…」
母「親戚への連絡は私の方でするけぇ、あんたは人数分席を用意しとけばえぇよ」
私「それは、もちろん大丈夫だけど…」
母「まあ、そういう訳じゃから。じゃぁね。またね」
ガチャン。ツーツーツー……

ええと。
取りあえず一件落着のようである唐突ではあったが。
それにしても母は何をいったい渋っていたのであろうか。つくづく謎である。

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[新郎側次男]
おい。さっき母からメールが来たぞゴルァ。お前、まえに俺様に言ってたことと違うじゃねぇか。
母が結婚式に出ないから、俺様が代表で挨拶することになるとか言ってたのは、あれはいったい
どうなっちまってやがるんだYO。母、きっちり結婚式にくるつもり満々じゃねぇかよ。おいおい、
俺様がせっかく今から心を込めて考えていた新郎側代表の挨拶の一言一言をいったいどうして
くれるっちゅうんじゃヴォケが。小粋なギャグ百連発のネタの仕込みにもう1ヶ月くらい
掛けてるっちゅうねん。今度慰謝料払ってもらうからな。体で(血涙)。

[新郎]
ごめんごめん。ていうか貴様、せっかちすぎ。
追伸:体は嫌です(土下座)。

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今回の反省:我ながら口先だけは達者だとつくづく思った。
今回の教訓:でも大切なのは結局、誠意です。
今回の結論:取りあえず普通に結婚式を挙げられそうです。

雨谷の庵は今日も雨。
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管理者:徳田雨窓