雨谷の庵

[0329] 実は結婚大賛成 (2003/02/06)


[Home]
さて、今後は結婚に関する話でこのサイトが埋め尽される訳であるが。

結婚といえばあれである。
まずは相方のご両親の人々とかいう方々に、その意向を申し述べて許可のようなものを
取りつけておく必要があるとかないとかそういうことから、まずは始めなければなるまいまい。
もちろん法律上は「別にそんなことをしなくても一向に構わんよだいたい君等はとっくに
ハタチ越えてるし」とまあ少々余計なことを口走って頂いていたりもするのではあるが、
社会的に俯瞰するならばやはり今後お世話になるであろうというか既にお世話になる気満々で
あったりする我々二人の、ささやかな程度に輝かしくありたい未来にとってみれば
そういった通念上の形式というか礼儀というかとっかかりというか、そんな一連の物事は
キチンキチンと押さえておくべきでは無いかと思ったりする次第の今日この頃である。

要するに、彼女の人のご両親の人々に挨拶してきたわけである。

ところで結婚の意向を両親に申し伝えるということに関するエピソードというものは巷に多々、
語り継がれていたりするものである。
例えば強面のようで実はスーパーウルトラ照れ屋さんという相方の父親が、実は結婚大賛成で
あるにも関わらず、挨拶に来た婿殿に冷たい態度を取り、表面上は結婚に反対しているような
そぶりを見せてみたであるとか、それでも部屋を去る際には「娘を宜しく頼む」と小さく
呟いてみるであるとか、はたまた結婚式には絶対出ないと頑なになった父親の態度にちょっと
ばかりおセンチになった花嫁だったが、結婚式の当日になって急に掛けつけた父親の姿を
見て感涙に咽びまくるであるとか、そういう類の話である。
残念ながら、彼女の人の父の人はそういう人柄では無さそうであったので、その点では何も
心配は要らないというか、余計な気遣いをしなくて済むというか、そういう感じではある。

ただむしろというかやはりというか、問題なのは彼女の人の方である。
時々耳にする逸話の中で、彼女の人が特にお気に入りのものは「父の骨董品」系のそれである。
その粗筋はだいたいにすれば以下のようなものである。

 彼女の人の父の人にはとてもとても大切にしている壷がある。
 父の人の口癖は「この壷を立派に引き受けてくれるような男で無いと娘はやれんな」である。
 そんな父の人のところに、ある日彼女の人の彼氏の人が結婚の挨拶に来る。
 彼氏の人は常々彼女の人から、父の人の壷のことを聞かされていた。
 なので彼氏の人は結婚の申し出の挨拶として、以下の言葉を何度も練習したのである。
 「お嬢さんを下さい。その代わり、壷のことは引き受けます」
 しかしいざ、父の人を目の前にした彼氏の人は、緊張の余りこう口走ってしまう。
 「壷を下さい。その代わり、お嬢さんのことは引き受けます」
 彼女の人はその場で色を失ったが、しかし父の人は彼氏の人のことをいたく気に入り、
 二人はめでたく結婚を許されることになったという。

いくつかのバリエーションはあるかと思うが、良く耳にする逸話である。
幸か不幸か、彼女の人の父の人は陶器の類を収集する趣味をお持ちであったりするのである。
彼女の人の実家には壁面一杯の飾り棚にみちみちと陶器が展示されており、それは私も
何度か目にした光景なのである。
なので彼女の人は私に、結婚の挨拶としてこう言えと迫るのである。
「陶器を下さい。その代わり、お嬢さんのことは引き受けます」と。

 徳田「いや、それはネタ的には美味しいですが、実際には不味いでしょう」
 彼女「だいじょうぶにゅ」(←本当はネタで頭が一杯)
 徳田「それに、本番でもし間違えて逆に言っちゃったらどうするんですか」
 彼女「みゅ。じゃあ、練習の時は逆にして練習すればよいのれす」
 徳田「……」

まあそれでも、結婚の挨拶は無事に終了したので良しとしよう。
私が手土産を忘れたので彼女の人がこっそり買いに走ったとか、私の髪型が寝癖でおかしな
ことになっていて彼女の人が始終笑いを押し殺すはめになったとか、私が挨拶の口上を
述べている間、時々彼女の人がブツブツと「壷、壷…」と不審な呟きを漏らしていたとか
いなかったとか、いくつかのそうした微笑ましいエピソードも交えつつ、形式的な話は
和やかな雰囲気のまま無事に終えることができたのである。

それにしても彼女の人の父の人の言葉は印象的であった。
「こういっちゃなんですが、うちの娘は変わり者でして。本当にこんなのでいいんですか?」
「こんなの」呼ばわりですか彼女の人。

とにもかくにも、彼女の人のご両親の了解は取りつけたわけである。
問題はこちらの実家への報告であるが、彼らは遥か彼方の岡山に在住のわけでもあり、
すぐに駆けつけて挨拶をするなどという訳にもいかない。
ここは一つ、まずは私が電話で報告、もし必要であれば彼女の人を伴って帰省ということに
しようという話になった。
まあ報告と言っても先だって帰省した折にはそれとなく彼女の人と結婚するかも知れませんよと
ということは匂わせておいたので、特に改めて申し出ると言う感じではそもそもないのであるが。

 母「え?結婚するんかな」
 私「うん。この前帰ったときに言った人とな、結婚することにしたけぇ」
 母「ふ〜ん。そりゃあ、ええなぁ。おめでとうじゃなぁ」
 私「ありがとうございます。で、特に問題は無い?」
 母「まあ、そりゃああんたらの問題じゃぁから、私がなんのかんの言うことはないはなぁ」
 私「まあね。ところで、挨拶とか、しに行った方がええんじゃろうか」
 母「いや。遠いし、それはいらんじゃろう。また、会えるときに挨拶してもらえればええよ」
 私「わかった」
 母「で、結婚式はするんかな?」
 私「へ?…ええと。普通はするもんなんじゃねぇじゃろうか」
 母「できれば、無しにしてもらえるとええなぁ。結納も省略できんじゃろうか」
 私「……」
 母「いや、結婚に反対というわけじゃぁねぇんよ?ただ、結婚式となると色々、なぁ」

母、どうやら面倒臭がってます。
この続きは次回の講釈にて。
…続き、って何。

雨谷の庵は今日も雨。
< Back |List| Next >
管理者:徳田雨窓