雨谷の庵

[0322] スパイラルな影響でもって (2002/12/18)


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私はもちろん、今の日本の経済的不況を嘆く一市民であり、その一日も早い解決を願う良識溢れる
好青年なわけであるからして、それらの直感的事実をもとに私は不況脱出の鍵を握ると言われて
いる消費拡大の、その一方策を個人的に激しく推進すべく速やかなる行動を実施したわけである。

 要約:髪の毛を切ってみました。

ここをお読みの読者諸賢の皆々様にはもしかすると自明かも知れないのではあるが、髪の毛を
切ることによる経済効果には実に絶大なるものがあると言わざるを得ない。

 髪の毛を切る→散髪屋(゜д゜)ウマー→機嫌が良くなって散髪屋飲みに行く→飲み屋(゜д゜)ウマー
→機嫌が良くなって飲み屋がエロビデヲを借りる→レンタル屋(゜д゜)ウマー
→ついでにチリ紙屋(゜д゜)ウマー→機嫌が良くなってチリ紙屋がエロ漫画を買う→本屋(゜д゜)ウマー
→ついでにエロ漫画家(゜д゜)ウマー→さらにもう一度チリ紙屋(゜д゜)ウマー
→更に機嫌が良くなったチリ紙屋が今度はエロゲーを買う→ゲーム屋(゜д゜)ウマー
→エロゲー会社も(゜д゜)ウマー→さらにさらにチリ紙屋(゜д゜)ウマー

ということで私が髪の毛を切ったことにより、散髪屋が1ウマー、飲み屋が1ウマー、
レンタル屋が1ウマー、本屋が1ウマー、エロ漫画家が1ウマー、ゲーム屋が1ウマー、エロゲー会社が
1ウマー、そしてなんとチリ紙屋に至っては3ウマーもの経済効果を得ることになることが今や
明らかなわけである。
コレからの時代、一儲けを企むならばチリ紙屋がお勧めであると結論付ける他無い。

このように、ある一つのきっかけから次々とその効果が波及し、状況を好転させることを
スパイラルという言葉で言い表したりもするわけだが、その代表的なものと言えばやはり
デフレ・スパイラルであろう。
デフレ・スパイラルとはこういうものである。

 髪の毛を切らない→散髪屋(゜д゜)マズー→機嫌が悪くなって散髪屋飲まない→飲み屋(゜д゜)マズー
→機嫌が悪くなって飲み屋がエロビデヲを借りない→レンタル屋(゜д゜)マズー
→ついでにチリ紙屋(゜д゜)マズー→機嫌が悪くなってチリ紙屋がエロ漫画を買わない→本屋(゜д゜)マズー
→ついでにエロ漫画家(゜д゜)マズー→さらにもう一度チリ紙屋(゜д゜)マズー
→更に機嫌が悪くなったチリ紙屋が今度はエロゲーを買わない→ゲーム屋(゜д゜)マズー
→エロゲー会社も(゜д゜)マズー→さらにさらにチリ紙屋(゜д゜)マズー

このようにして散髪屋が1マズー、飲み屋が1マズー、レンタル屋が1マズー、本屋が1マズー、
エロ漫画家が1マズー、ゲーム屋が1マズー、エロゲー会社が1マズー、そしてなんとチリ紙屋に
至っては3マズーもの経済損失を被ることになってしまった結果、国全体の経済が縮小へと
向かう……デフレ・スパイラルとはこうした現象である。
要するに、デフレの時にはチリ紙屋だけはヤメトケと結論付けざるを得ない。

ちなみに先ほどの、髪の毛を切ることによる経済効果の話はそのデフレ・スパイラルとは
逆の状況、要するに好景気の時の話なのであり、言うならばインフレ・スパイラルとでも
呼ぶべきものである。
要するに不況であろうと好況であろうと、経済というものはスパイラルなのである。
これは「チリ紙屋ほど浮き沈みの激しいものは無い」と言い換えても良い。

さて定性的な話に終始したところで物事の概要しか捉えられないであろうことは古今東西のありと
あらゆる賢人達の証明するところであるが、ここで定量的な側面についての考察も交えてみたいと
思う次第である。
話はマクロ的な経済現象に関わることであるので、議論の対象には平均的な人々というものを
想定しなければならない。
つまりここで問題となるのは統計上の平均付近に存在するであろう人々が、髪の毛を切るために、
どれくらいの頻度でもって散髪屋に足を運ぶのであろうかということである。
話の単純化の為に、今ここではその平均的な人々の散髪から散髪までの間隔を1ヶ月と仮定しよう。
つまり人々が平均して1ヶ月毎に散髪していれば、経済は順調に成長し、失業も無くなると
仮定するのである。

さて、そうした前提をもとに考察するならば、私の今回の散髪による経済効果の程を大まかに
見積もることが可能となる。
まず、前回散髪から今回の散髪までの間の期間は、実に10ヶ月間であることをここに
実証データとして提示することにしよう。
要するに私は今年の3月初旬頃から、この年末間近の今の今まで、一切の散髪行為を
実施しなかったという事になるわけだ。
つまり通常ならば1ヶ月毎に散髪屋が得るはずであった1ウマー、10ヶ月間で累計するならば
実に10ウマーもの経済効果なわけであるが、それが私に限って言えばなんとたったの1ウマーで
あったわけなのである。
平均すれば月に0.1ウマー。通常の10分の1という酷い状況である。
もしも散髪屋が得られるべき1ウマーを期待し続けてその生活を送っていたとするならば、
彼は毎月毎月0.9マズーもの損失を被り続けてきたことになってしまうのである。
それは既に、彼がいわゆるところの不良債権化してしまったことを意味するであろう。
そして先ほどのも申し述べたように、経済とはスパイラルである。
この散髪屋の不良債権化問題は当然ながらスパイラルの結果として他に波及し、飲み屋、
レンタル屋、本屋、エロ漫画屋、ゲーム屋、エロゲー会社の尽くが不良債権化してしまうと
いう恐るべき事態に突入する。
チリ紙屋に至ってはこの10ヶ月間に27マズーもの経済的損失を叩き出しているわけで、
私が思うに彼らは既に新宿か浅草のあたりでダンボールの中での再出発を期している事だろう。
私はつくづく、チリ紙屋に就職しなくて良かったと心の底から思う次第である。

しかし私はここに至って、髪の毛を切ったのである。
今まで私が散髪しないことによって生じた経済的損失も、ようやく底を打ったと見て
しかるべきであろう。
これをもって日本の経済がみるみると不況を脱し、未曾有の好景気に沸くことは間違い。
いや、もちろん経済の持続的な成長の為には、こうした状況を恒常的なものとしなければ
ならないであろうことは私にも分かっている次第である。
ならば私は英断したい。
これからは毎月のように散髪をし、世の人々にスパイラルな影響でもってウマーを提供し、
日本経済の持続的な成長に寄与し続けることをここに約束しよう。
この私の決断が、日本の不況を解決し、それがいずれは世界経済への大きな貢献となる事を、
私は大きな視点でもって眺望する者である。

ちなみにロン毛から一気に短くし過ぎた私のこの髪型を見て、彼女の人が始終もけもけと
笑い転げていやがったりするのであるが、それと前述の決断とが全くの無関係であることを、
最後に付け加えておきたいと思う次第である。

くそう。

雨谷の庵は今日も雨。
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管理者:徳田雨窓