雨谷の庵

[0309] コスプレマンセー世界観 (2002/10/30)


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コスプレ=コスチュームプレイという言葉の語源は演劇用語にあるものであるらしく、
「衣装を着用して稽古する」といった程度の意味なんだそうである。
世の中にはプレイ=えちぃ行為と脳内変換されてしまう生物も存在すると聞いた事があるのだが、
そういう人達にとってのコスプレというのは「衣装を着用したままえちぃことをする」という
意味になってしまうわけで、コスプレという言葉には結構ダークなイメージを持っている方も
おられるかも知れない。
ということで、アニメ・マンガ・ゲーム系のイベントで思い思いの仮装をしている若者達の
間でのコスプレに対するイメージには全くえちぃ要素は無いので、そこのところは勘違いを
しないようにお願いしたいものである。
誰にお願いしているのかは私にも分からないが。

さて、どうしてこのようにコスプレという言葉を殊更取り上げているかというと、最近私が
出向いた2つのアニメ・マンガ・ゲーム系のイベントで、そのコスプレについての印象が
違っていたということをここで書きたいと思ったからに他ならない。
もちろん冒頭に述べたようなえちぃイメージをお持ちの諸氏についてはこの際論外としても、
単に仮装を楽しんでいるだけの人々の中にも、良く良く見れば色々と違いというか、
コスプレというものへの意識の差というか、そういうものがあるように思った次第なのである。
ちなみにそのイベントとはFREAKSとコスカ(コスチュームカフェ)の2つのことである。

FREAKSというイベントは、開催地の地元近辺の女の子(10〜16くらい)が主に参加するような
比較的小規模な同人イベントである。
要するに小学校高学年から中学生くらいまでの腐女子向けのイベントであり、その内容は主に
ジャンプ系の801ものであったりする。
人気なのはテニプリ、ナルト、ワンピ、ミスフルといったところで、それ以外のジャンルも
ファンシーグッズもの、ナマモノ(ペット系)などといった可愛げ方面である。
これでもう少し年齢層が高くなると、男×男の耽美やボーイズラブが主になってくるのだと
思うが、まあそれはこの際置いておこう。
もちろん、中にはこの少女達で溢れかえるイベントで、何故かエロゲーのキャラクターを模した
絵柄の扇子を売ろうとする、かなり場違いなおっさんも存在していたりするのであるが、
それもこの際置いておこう。
このFREAKS、腐女子向けのイベントだからなのかどうかは分からないが、基本的にはコスプレを
容認しているようである。
一応更衣室等も設けているようで、少女達はそこで思い思いの衣装(テニプリの青学や氷帝の
ジャージだとか、ナルトの忍者装束だとか)に扮する訳である。
そんな一見和気あいあいとしたFREAKSであるが、先日参加したときには一瞬、殺伐とした
雰囲気となっていた。
コスプレが一時、禁止になったのである。
通常、コスプレ禁止の原因としてよく取り沙汰されるのは以下のような理由であることが多い。

 A. 周辺住民などからの苦情
 B. 過剰な露出(パンチラや半ケツ、乳ポロなど)の横行
 C. 更衣室でのトラブル(置き引きなど)
 D. 盗撮行為の発覚(更衣室、トイレ、階段や隠しカメラなど)
 E. 参加者間のトラブル(喧嘩、痴漢など)

今回はA.だったようだ。
なんでも、イベント会場の壁にガンガン蹴りを入れていたとか。
そりゃ周りの人は怒るだろ、と思わないでは無い。
結局のところこのFREAKSにおけるコスプレとは、単にイベントを友達とワイワイ楽しむ為の
一つの様式に過ぎないようであり、コスプレをしている腐女子にはコスプレへのこだわりとか、
コスプレ時のモラルであるとか、そういったものがあまり無いように私には思えた次第である。

それに比べると、もう一方のイベントであるコスカでコスプレをしている方々の意気込みは
相当なものであった。
元々このイベントはコスチュームという名称を頂いていることからお分かり頂ける通り、
コスプレ自体をメインのネタとして取り上げた同人イベントである。
いや、そう言い切ってしまうと語弊があるか。
元々は制服に対して愛着を持った方々が、そうした制服などに関す同人誌を持ち寄るための
イベントであったらしい。
ファミレスなど(アンミラ、馬車道、ブロパなど)の制服や、女学生の制服、看護婦、巫女、
スチュワーデス、婦警など様々な制服に萌えてしまう人々はやはりかなり昔から居たそうであり、
制服系としてはそういう方々が正統派とされているらしい。
しかしそうした現実世界に実在する制服よりも、数としてはアニメやマンガ、ゲームに
登場する制服の方が圧倒的に多かったりするわけで、最近ではそういった架空の制服に対して
萌えている人も多く参加するようになったといった感じのようだ。
また制服に対する己の萌えを創作に込める人々だけではなく、実際にそれらの制服を模倣した
衣服を作成したり、また自作の制服を着込んでイベントに参加したりといった人も多いのも
このイベントの特徴になるだろうか。
萌えを創作に込める人々にはやはり男性が多いが、コスプレをする人には女性が多く、
イベント参加者の男女比はほぼ1:1だったような気もしないでは無い。
オタク野郎ばかりのギャルゲー系イベントや、腐女子ばかりの801系イベントなどと
比較すると、一風変わったイベントであると言えるかも知れない。

コスプレに対するイベント主催側の規制が年々厳しくなる中で、このコスカでのコスプレに
対する対応や、参加者のマナーは他のイベントに比べて高度に洗練されており、
主催者のコスプレに対する思い入れや参加者の意識の高さが、私には感じられた。
例えば会場内での写真撮影は許可制(一定料金を払って撮影許可証を受け取る)となっており、
撮影場所もかなりの広さのスペースが用意されていたりするのである。
撮影スペースでは、思い思いの衣装に着飾った腐女子を撮影するためのカメラを胸に抱いた人々が
順番待ちの列を為しており、その一糸乱れぬ整列振りには感心させられることしきりであった。
こうした光景は夏冬のコミケットのコスプレ広場でも目にすることが出来るが、そこよりも
強く印象を受けたのは、彼らのコスプレに対する真摯な熱気故なのかも知れない。
まさにコスプレを中心としたコスプレマンセー世界観の中でのコスプレであり、前述した
FREAKSでのコスプレなどとは覚悟も意気込みも別次元であると言い切ってしまいたいほどである。
そういう意味では、コスカというのはFREAKSに比べると「オトナ」のイベントであると
言えるのかも知れない。

「うみゅう。そういう見方もあるかも知れないにゅ〜」
以上のようなことを自スペース内でつらつらと喋っていた私に、彼女の人はほぼ同意の様だった。
「確かにここ(コスカ)の人の気合はちょっと別格かもにょ」
そうは言うものの、今私の隣で自作の同人グッズ(今回はアンミラネタの同人誌と、制服系
イラストのラミカ、及び2003年カレンダー)を売り捌いている彼女の人もまた、買ったばかりの
チャイナ服を着込んでいるわけであるから、気合充分な意味では変わりない。
「でもFREAKSが悪いって訳じゃないにょ。友達と気軽にワイワイ仮装するのも楽しいにゅ」
もちろん、そういったことを否定するつもりは私には無い。
単に、イベントによってコスプレをする人々の意識に差があるのだなぁということを感じた、
とまあそういうことである。
ただ、コスプレに対してあまり思い入れも無いままに、マナーなどに思いを馳せることなく
行動することで、結果的にコスプレ禁止という事態を招くようなことになるのは、コスプレを
する側の人間にしてはちょっとばかり配慮が足らないのではないかと思わないでは無い。
そうした事例の積み重ねが今後も続くようであれば、恐らくFREAKSのようなコスプレ容認という
イベントは将来的には無くなり、コスカのようにコスプレをメインとするイベントと、
それとは逆のコスプレ禁止というイベントの2方向に分化するのだろうなぁといったような
懸念を、なんとなく抱いてみたりしていたりもする。
コスプレという文化の是非はともかく、そういう状態は少し寂しいようにも感じる。

「ところで一生懸命に話を誤魔化しているみたいだけど、あちきの質問への答えはまだにゅ?」
「え?ええと、なんのことでしたっけ?」
「徳田さんが買ってきたこの、えちぃ絵がみちみちと載った同人誌」
「あ、ああ…そ、それは」
「しかも10冊以上も買ってくるっていうのは、どゆこと?」
「いや、その」
「びゅびゅびゅびゅびゅ」

どうやら誤魔化し作戦大失敗。漏れ大ピンチ。
この続きは次回の講釈にて。

雨谷の庵は今日も雨。
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管理者:徳田雨窓