雨谷の庵

[0291] 衣装作成について色々と (2002/08/07)


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私も見たこと無いのに。

ここをじっくりと読んだ事の有る読者の方々なら既にご承知のことだとは思うが、私は料理を
するのがどちらかと言えば好きな方であると自認していたりする。
だからといって家庭的な男であるという訳ではもちろん無くて、掃除をするのは面倒臭くて
嫌い、洗濯は嫌いでは無いがやはりちょっと億劫といった感じで、家事全般を通して見れば
私の家庭的度数というものは所謂世間的に普通なのでは無いかと勝手に思っていたりする。
実際の話、小さな頃から家事全般については自力でなんでも出来るように、とのことで親から
結構厳しく躾られていたりもしたので大抵のことはそつ無くこなすだけの自信はあるが、
どうやら、やらなくても命に関わらない類のものについては、生来の不精が表に出るのか、
面倒臭さが先に立ってしまっているようである。
ちなみにウチは両親ともに働きに出ていたので、彼らが不在の時にも私達兄弟が困らないように
という親心が躾の厳しさにつながっていたのだと聞かされている。
しかし本当のところは、夫婦揃っての不精者だった両親が、私達兄弟に家事を押しつけようと
画策していただけなのかも知れないという疑いを、今の私は抱いていたりもする。
不精者の遺伝子は確実に世代を越えて受け継がれているに違いないからである。

そんな背景もあり、学校における私の家庭科の成績は常に良かった。
5段階評価ではいつも5を貰っていたし、実技も先生に教えてもらうまでもなくこなして
いたように記憶している。
ちょうど私の年代から男子児童にも家庭科を教えるようになったこともあり、私の他の男子には
包丁などの料理器具や針と糸などの裁縫道具を初めて持ったという者も多かったようである。
そういえば当時は男女平等とかいうお題目がまだまだ実現に遠い段階だったかも知れない。
家庭での躾でも「男の子が家事をするというのはご法度」というのが主流だったのだろうか。
家庭科の授業では必然的に、男女混合で作業を行うことになるわけであるが、私は他の男子が
初めての包丁をぎこちなく扱う横で、するするとジャガイモの皮を剥いて見せたりして
独り悦に入る事もしばしばだったかも知れない。
女子の大部分は料理をしたことがあったというように記憶しているが、中には男子と同じような
不器用さでキャベツを切り刻む者も居たようにも思う。
裁縫でも事情は似たようなもので、大抵の授業で私は独りで勝手に妙な作品を縫い上げては
喜んでいたような気もしないでは無い。
小さい頃から家の電動ミシンで勝手に妙なものを縫って遊んでいたりもしたから、色々と
使い慣れていたのは事実だろう。

さて、そんなちょっと家庭科には自信のあった私だが、料理はともかくとして裁縫の方は
近年では滅多にその技量を発揮することなく日々を過ごしていたりする。
そもそも自分で服を作ったりする趣味はあまり無かったし、というよりもミシンを持って
いる訳では無いからそういう作業は行おうにも行うことができない環境にあったということも
あるが、やはり裁縫は料理と異なり、しなくても命には別条無い類の家事であるから、
生来の面倒臭がり屋の性分の赴くままに何もせずにいたという方が正解なのだろう。
例えば昔ならともかく今の世間では、服に穴が開いたからといってそれに接ぎを当てて使い
続けるということはしないだろう。
破れた服はすぐに廃棄される運命にあるのではないだろうか。
私の場合、その廃棄作業すら不精して穴の開いた服を着続けていたわけであるから、
裁縫作業というものをしなくなるのも当然といえば当然の結果なのかも知れない。
もちろん裁縫の中にはボタンが取れたときにそれを補修したりという種類のものも有るわけだが、
私にとってはそういった些細な欠陥は繕う必要もないことに他ならなかったので放置して
いたりもした次第である。
人間的に駄目という批判は甘んじて受けるが、まあそういうことは気にしないことにしている。

「そう、だから私が裁縫をしていないからといってそれが出来ないという訳ではないのだ」
私は先程から私を無視し続けている彼女の人に向かって、前述のような経緯を懇切丁寧に
語り終えた。
しかし彼女の人は手元の作業を止めることなく「ふーん、それで?」などという如何にも
関心なさげな返事を返すばかりである。
「だからだね、私もその衣装作成について色々とお手伝い出来るのでは無いかと思うわけだよ」
「ふみゅ。要するに、手伝いたいのかにゃ?」
「イベントまでもう日数も少ないことだし、君だけだと間に合わないかも知れない」
「多分大丈夫にょ〜」
赤い布の折り目の辺りを確認しながら、彼女の人は針を器用に操りながらもきもきと作業を
進めている。
私は更に、彼女の人の行っている作業に関する不安事項や、私の裁縫に関する技量についての
主張を繰り返し、いかに私が彼女の人にとってお役立ちになりうるかを力説してみたのであるが、
結局、彼女の人が私の主張に首肯することは無かった。
思えば、そのとき無理にでも私が手伝うことを承諾させておくべきだったのである。

夏の同人イベントまで残すところわずかに数日。
それまでに彼女の人が自身のコスプレ衣装を完成させることが出来るかどうかは微妙な情勢では
ないかと私は思っていたりする。
ていうか、コスプレ衣装を作る時間が欲しいということで、ここ数日、彼女の人は私と
会う間すら惜しんで作業に明け暮れているという体たらくである。
彼氏の人よりもコスプレの方が大事というのは、人としてどうよ?
いや、もちろん私の心は心の世間的には海の深さよりも深く宇宙と同程度には広い訳であるから、
彼女の人の趣味趣向のためなら自身の感情を抑制することに吝かでは無い。
その点を後悔しているわけではないのだ。
実際、彼女の人が自身のサイトで公開しているコスプレ衣装の製作記録でそれが徐々に完成に
近づいていく様子を眺めるのは、正直な話楽しいという他ない。
ただ、私が少しだけ気がかりなのはその作成途中の衣装の胸部周辺の作りなのである。
その衣装はそもそもお腹の部分を露出させるデザインで、上着の部分は胸部を隠す程度の
大きさしかないのである。
その胸部の部分が問題というか、なんというか、どうも、その、彼女の人のそれはその部分を
小さく作り過ぎているように見えるのである。
そ、そのままでは、ええと、その、ち、乳がっ。し、下乳がぁっ。
私の心の世間では素晴らしく美乳(のはず)の、彼女の人の大切なお胸の下半球が大変な
チラリズムにっ!<落ち着けYO。漏れ。

ああ、あの部分をこの手で修正したい。
下乳がちゃんと隠れる大きさに。

雨谷の庵は今日も雨。
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管理者:徳田雨窓