雨谷の庵

[0270] 花粉症でハナが (2002/02/15)
※匿名雑文祭


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昨日は大変な目にあったのである。

何がそんなに大変だったかというと、実は昨日がバレンタインデーだったということに
起因していたりする。
実のところ、私は爽やかな好青年であるが故に毎年大量のチョコレートをこの
バレンタインなる日に貰ってしまうのだが、それが私にとっては非常に大変なことを
引き起こしてしまうというわけだ。
そう。実は私はチョコレートアレルギーなのである。
そもそもバレンタインとかいうのが一体なんのお祝いなのかについて、私は浅学にして全く
分かっていないばかりか30年近い人生において一度も調べようとすらしていないのだが、
ともかくこのいまいましいアレルギーというもののお陰で毎年のように酷い目に遭う日で
あることは、私にとって明白な事実に以外の何者でもないというわけである。
もちろん物事を斜めの方向から考察してみれば、この私の爽やかさなり好青年ぶりなりを
非常に問題のあることとして再認識するにやぶさかではないが、それはある意味無理の
ある態度と言わざるを得ないであろう。
ともかく今、この時点で切実なる困難として浮上しているのは「好き、大好きっ!」との
妙な掛け声とともに私の元に殺到する女子の人々であり女性の諸氏でありそして彼女らが
手に手に持っているチョコレートであり、その数の多さなのである。
いまや春先の風物詩とも言うべき花粉症に苦しむ人のごとく、チョコレートに囲まれた私は
瞬く間に鼻水と涙の洪水に襲われてしまうのだ。
花粉症でハナが大変なことになってしまった人の身を案じる親切な人は恐らくこの
世間の中に何億人という膨大な数でもって存在するであろうと思ったりもするが、
一方でこの私が今日まさしくそうであったように、チョコレートによってハナが
物凄いことになってしまっていたりする場合、そしてそれがバレンタインなどという
たわけたイベント性の高い風物詩に起因するものであったりなどすれば、そのことに
ついてわざわざ心配してくれたりするような女神の親切心を持つ人はまず
存在しないであろう。
せいぜいがモテモテの人であるところの私に対して、恨みがましい眼差しにありとあらゆる
呪いの言霊を五行風水の仕来たりに従って四方八方から浴びせ掛けてくるのが関の山とか
そういうものである。
もちろん私はそうした、言ってみれば健全なるモテない君たちのひがみや鬱憤を
非難するつもりは毛頭無い。
むしろ男として人として動物として、異性を独り占めにせんとする邪悪な異物を何らかの
手段でもって排除せしめんとするその心意気なり根性なりは当然評価されるべきでは
ないかと、常々愚考に愚考を重ねたりもする次第である。
もちろんそんな恨みがましい目を他人に向けている暇があったら心の奥底に密かに
抱いているであろう憧れの女性への想いなり欲情なり性欲なりをどばどばと噴出して
ティッシュの山でも築き上げている方がより建設的な人生であるとは思ったりもするが。
あまり建設的とは言えない様な気がしないでもないが、そういうことはこの際気にしては
いけないお約束ではないかと思うわけではある。

ともかく私はこの機会を利用して、広く世間の女性諸氏に訴えたいと思う次第である。
もう、バレンタインデーにチョコレートという下らない贈り物をするのは止めよう、と。
これからは皆、手打ちうどんでもって愛を語るべきだ。
私がここに高らかに手打ちうどんでの愛情表現を推奨するのにはもちろん訳がある。
まず、何と言っても手打ちうどんは美味い。
そして、なによりも代えがたいことに私は手打ちうどんが大好きだ。
もし今ここに手打ちうどんを毎日のように食べさせてくれる女性が現れたならば、私は
すぐにでも拉致監禁の上、二度と日の目を拝ませないことであろう。
というのはもちろん冗談だが、今すぐに結婚を申し込んでもいいくらいには思っている。
もしもその女性が作る手打ちうどんが緑あひる使用のものであるならば、私はその女性の
下僕となって一生を終えるに違いない。
とここまで書いた非常に納得性の高い理由により、今後はバレンタインデーに
手打ちうどんを贈る風習を世の女性には是非とも実践して頂きたいと、
私は心の底から願う者である。

そして、やがて手打ちうどんは世界を救うことになるのである。
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・・・といったような妄想を、会社帰りの電車の中、バレンタインデーとかを理由に
いかにも大っぴらにいちゃつきまくっている年若いカップルを横目にしながら呪いを
込めて思いつき、暇に任せてここに書き散らしてもみたりしたのだが、やはり違和感が
あるようで今ひとつ筆に馴染んでいない気がしないでもない。
やはり生まれてこの方30年、一度も女性から本命チョコというものを貰ったことの
無い私が急に慣れない手つきでモテモテ君的文章を書くというのは無理があるようだ。
途中止めにするようでいささか申し訳ないのではあるが、この駄文はここで打ち切って
しまおうと思う次第ではある。
楽しみにしていた方々には実に申し訳ない次第であるが、私の筆力などと言うものは
ここら辺が限度とかそういうことらしいのでご勘弁頂きたい。
って、そういえばこれは匿名雑文祭のための文章なのであった。
私が誰であるのか、そもそも分かるはずも無い訳である。謝って損した。いや、違うか。

それはともかく。
モテない男にとっては呪い以外の何者でもないバレンタインデーは終わったのである。
明日はモテないことを気に病む必要も無い。
胸を張り、白昼を堂々と歩いていくことが出来るとかそういうことである。

雨谷の庵は今日も雨とはいいつつ、いつもと変わらぬ平凡な明日が楽しみである。
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管理者:徳田雨窓