雨谷の庵

[0179] 讃岐独特の恐るべきうどん (2001/08/27)


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ほんじつのめし。

唐突にうどんが食べたくなったので、うどんを作るコトにした。
うどんはうどんでも、香川県つまりは讃岐の独特のあの恐るべきうどんが
食べたくなったので、うどんを作るコトにした。
東京のうどん屋では讃岐独特の恐るべきうどんを扱っていないので、あれを
食べるためには自分で作らなければならないのだ。
ああ、恐るべきうどんが食いたい。
うどんうどんうどんうどん〜。
何度もぶつぶつとその名前を唱えてみても、うどんがその姿を現すはずもない。
やはりうどんを食べるには作るしかない。
こうして、私は意を決したとかそういうことなのだ。

まずは粉である。粉を用意しよう。
粉には何を用意すればいいのだろうか。分からない。
ああ、いきなりつまづいてしまった。遥かなり讃岐うどん。
しかしここで私が挫けるはずも無い。
何しろ私のうどんへの熱意は並々ならないのだ。
取りあえず、手近に小麦粉が存在することを発見した。これでいいだろう。
ということで、おもむろに小麦粉をボールの中にぶちこんでみる。
うむうむ。これでうどんは出来たも同然だ。
ところで小麦粉には薄力粉と強力粉の二種類がある。
浅学にしてその二つの違いというものは全く分からないのであるが、
今回使用したのは薄力粉だ。
読者諸賢の参考になれば幸いなのだ。何の参考だ。

次は、この粉を練るのだ。
練るのだ。ぐいぐい。
練るのだ。ぐいぐいぐい。
・・・なんだかどうも粉っぽい。
全然練っているような気がしない。何故だ。
確か、テレビとかだとうどん屋のオヤジが粉を練って粘土のようなものを
作っていたような気がする。
ところがどうだ。
私の目の前にあるこの粉の奴は、いつまで経っても粉のままではないか。
一向に粘土っぽくなる気配が無い。
・・・・
もしかして、液か。液が必要なのか。
そうと決まれば、液だ。早速、液を探そう。
うどんに必要な液とは一体何なのだろうか。分からない。
ああ、またもやつまづいてしまった。遥かなりうどんマスターへの道。
しかしここで膝を屈するはずも無い。
何しろ私のうどんマスターへの情熱は並々ならないのだ。
取りあえず、水道水でいいだろう。水は万物の液の長だ。
ということで、おもむろに水道の蛇口をひねり、小麦粉の中に注いでみる。
うむうむうむ。これでもう、うどんマスターは目前だ。
早速練りこみ再開だ。
練るのだ。ぐいぐい。
練るのだ。ぐいぐいぐい。
おお。なんだか少し粘土らしき物体に近づいたではないか。
ものの本によると、これをとにかく練って練って練りまくると、あの讃岐
独特のコシが発生するのだそうだ。
よしよし。ならば練りまくろうではないか。
ぐいぐいぐいぐい。もういいかな?
まだ時計の針が1分も回っていないような気がしないでもないが、そんなことを
気にしていてはいけない。
何しろ私はうどんが食べたいのだ一刻も早く。

ということで、次にするコトはこの粘土みたいな物体を薄く延ばすことだ。
ちなみに某美食漫画とかでは、このあとこの粘土状の物体を2時間ほど寝かしておく
とかいった記述があったような気がしないでもないが、そんなことをしていては
私が飢え死にしてしまうので却下だ。
だいたい、寝かせるってどういうことだ。子守り歌でも歌えばいいのか?
それはともかく。
とにかく、延ばすのだ。
用意した物はまな板と割り箸。
延ばし棒のようなものがないかと1分ほど食器棚を探しまわったのだが、
見当たらなかったので割り箸で代用することにする。ナイスアイデア。
まあ、同じ棒だし。大した違いではないだろう。
これでもはや讃岐を手中にしたも同然だ。
で。
延ばすのだ。えいえい。
延ばすのだ。えいえいえい。
・・・・
もういいかな?
なんだか表面が四角くがたがたしているが、一応延びたような気がするので
良しとしよう。
ああ、私はなんて心が広いのだろう。ナイスガイだ。

そして切るのである。
何しろうどんというからには、麺類の一種とかそういうコトなわけだ。
だから、この薄く延ばされた物体を麺状に切り揃えねばならない。
言い伝えによると、うどんを切り揃えるにはうどん包丁という便利な器具があるとの
コトであるが、そんなものを私が持っているはずも無いのでここは家庭包丁で
いいだろう。
ともかく、延ばされた粘土状の物体に包丁を突き立てるのだ。ぐさっ。
切るのだ。ずばずば。
切り揃えるのだ。ずばずばずば。
・・・・
もういいかな?
なんだか、とても短くて太い物体が10本ほど出来たような気がする。
ちょっと平べった過ぎたかな。
・・・・もしかして、きしめん?
いやいやいや。これは断じてきしめんなどというものではないのだよロバート。
これは断じてうどんなのだロバート。
所謂、心の中の真実。
ところでロバートってなんだよ。知るか。

さあ、いよいよ茹でるのである。
うどんというからには茹でなければならない。
しかも、茹でることこそが大いなるうどん完成への最後の一歩でもあるのだ。
さあ下僕たちよ今こそ鍋を用意したまえ。
そしてそこに並々と水を張り、ぐつぐつという音が高らかに鳴り響くよう、
それを煮立てるのだ。
そしてそこに哀れな子羊たちをほおりこむとかそういうことだ。
ああ、私が手塩にかけて作り上げた可愛いうどんたちが熱湯にその身を任せている。
煮るのだ。ぐつぐつ。
煮るのだ。ぐつぐつぐつ。
・・・・・
もういいかな?
まだ3分も経っていないような気がするが、きっともう大丈夫だろう。
インスタントラーメンのような干からびた爺臭いものでさえ3分もあれば
十分食するに足るものへと変貌するのだ。
ならば、今出来たてのほやほやのぴちぴちのこの可愛いうどんたちであれば、
3分もの時間をかける必要など無いに違いない。

さて、鍋から引き揚げたこのうどんを水で締めれば出来あがりだ。
讃岐のうどんは水で締めなければならない。
茹であがったうどんは水で締めることにより、より高次の存在へと昇華するのだ。
ざるに湯気を立ち昇らせているうどんを展開し、惜しみなく水を注ぎ給え。
注ぐのだ。ざばざば。
注ぐのだ。ざばざばざば。
・・・・・
もういいかな?

さて、いよいよ私はあの讃岐独特の恐るべきうどんを手に入れたわけだ。
思い立ったが吉日、その決断の瞬間から僅かに30分。
ああ、なんとお手軽なのだろう、うどん。
ちょっとばかり手順を省略したかも知れないが、そこは寛大なる心でご了承
頂きたいものだ。
ということで、ほんじつのれしぴ。

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[ほんじつのれしぴ]
〜讃岐独特の恐るべきうどん〜

 1. 粉を用意。
 2. 液を用意。
 3. ぐいぐい。
 4. えいえい。
 5. ずばずば。
 6. ぐつぐつ。
 7. ざばざば。

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これで貴方も今日からうどんマスターだ。
讃岐の恐るべきうどん、GETだぜぇと叫んでも良いのだ。
さあ、醤油を用意しよう。
うどんつゆなどという軟弱なものは讃岐には必要無い。
ただただ生の醤油を器に満たし、猛者はうどんを食するのみ。
食べるのだ。ちゃぽん、づるづる。
食べるのだ。づるづるづるづる。
・・・・・
う〜ん。なんか違うなぁ。

雨谷の庵は今日も雨。
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管理者:徳田雨窓