雨谷の庵

[0116] オヤジ臭い文章 (2000/11/01)


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名は態を現す。違うか。

文章を書くという行為についてのなにがしかの考察を行なう度にいつも気になることがある。
それは、文章を書いている人が己の生成しつつあるものに対して抱いているイメージと、
文章が書き終わった後にそれを読み取る人が生成するイメージとの間には大きな
大きな違いがあるのではないだろうかという、単純素朴な感覚である。
というか、上記の問いに対する答えがかなりの場面において「違うに決まってんだろ」と
いうものであるだろうことは私も重々承知しているのであるが、かといって
常日頃に渡ってそうした「違い」というものを意識しているかというとそうではなかったり
するとかそういうことである。
貴方も考えてみると良い。
こうして読んでいるこのクソクダラナイ文章について今現時点この瞬間刹那において、
貴方が抱いているイメージというものがこれを書いている時点での私のイメージと
果たして一致しているかどうかを、考えながら読んでいるのであろうか。
てゆ〜か、そんな方は居られないであろうことは恐らく私の経験からしても
まず間違い無いことである。
ちなみに私も他人の文章を読んでいるときにそういったことを常に考えているわけでは
ないのでご安心頂きたい。
逆に言うならば、こうして今私が文章を綴っているときには読み手である貴方の
事など全く考えていないとかそういう訳で、今現在貴方の抱いているイメージについて
私は何らその品質を保証することが出来ない訳である。
例えばこの文章を読みながら涙する方も居られるかもしれないし、逆にゲラゲラと
爆なる笑顔を振りまいている方、はたまた股間をテントにしてしまいあまつさえパンツに
ちょっとばかり恥ずかしげな染みを浮かべている方も、いないとは限らない訳である。
貴方はどうか。笑っているか。そりゃ結構。
結局のところ、文章という間接的なものを媒体としたイメージの転送と言い換えても
良いようなこの薄らもどかしげなやり取りについて、時折我々人類の意図しない結果が
もたらされるという事はあり得ない話ではないと言うか、あって当然な訳である。

さて。
突然であるが、私の悪友であるところの大友某の話をしよう。
この大友某が、いきなり私の下宿にやってきたのは先週の水曜日の夜のことである。
何事であるかと問う私に対し、大友某応へて曰く。
「お前のヴァイヲを借りに来てやったぞ」
何を馬鹿なことをほざいているのかという私の至極当然な感想はまあこの際良しとしよう。
ヴァイヲといえばアレである。
私が今月買ったばかりのクルウソウなナイスガイである。0110話を参照のこと。
聞けば、大友某は先週の木曜日から土曜日にかけて行なわれるXMLのカンファレンスに
参加するとのことであった。
先の雑文でも書いたが、私はXMLのメーリングリストを読んでいる。0114話参照。
その関係もあって、私もそのXMLのカンファレンスのことについては小耳に挟んだことがある。
件のカンファレンスと、今のこの大友某の来訪と私のヴァイヲとの相互関係について、
当時の私が何の考察も持ち得なかったことはここに記しておく他無い。
そんな私にお構いなく、大友某は続けるのである。
「XMLと言えばアレだ。先端技術だ。IT革命だ。それに対し、
 ヴァイヲも先端技術なIT革命だ。だから俺様は紙のノートではなく
 貴様のヴァイヲ的ノートを持って行かねばならないと云う訳だ」
何がどのように「〜と云う訳だ」なのかはやはりその時の私にはさっぱり分からなかったが、
ともかく急いでいるとの大友某の言葉に急かされたこともあって、なんとなく
愛機ヴァイヲを貸してしまったのは今振り返って見ると気の迷い以外の
何物でも無かったとかそういうことである。

結局私のヴァイヲが帰って来たのはそのXMLのカンファレンスが終わった翌日の
日曜日のことである。
朝まで飲んでいたという大友某は、早朝に私の自宅にヴァイヲを持って現れた。
「いやいや徳田君。このヴァイヲはなかなか良かったよ」
聞けば、バッテリーは本当に20時間くらいもったそうである。
また、クルウソウ搭載マシンということで、他のモバイル愛用者に散々見せびらかして
きたらしい。
中には一太郎Arkをこのヴァイヲで起動させて体感速度を試してみたというツワモノも
いたというから驚きである。
普段から威張りんぼの大友某のことである。さぞかし楽しかったに違いないと思いきや、
何故か大友某の表情は余り芳しくなかった。
どうかしたのかと尋ねた私に、大友某は応へて曰く。
「徳田。俺のメールの文章というのはオヤジっぽいのだろうか」
実はこの大友某もXMLのメーリングリストの愛読者のであり、時々そこにメールを
投稿したりもしているのであるが、そのメールの書き方からどうやら大友某は
メーリングリストの他の愛読者から、かなりのオヤジではないかと思われていたらしい
のである。
カンファレンスの打ち上げに一般参加者の分際で図々しくもちゃっかり
参加してしまっているところなどは大友某の人格崩壊ぶりをよく表しているようで
私的にはかなりグッドな面白い話であったが、当の本人はその席で自己紹介するたびに
「もっとおじさんなのかと思っていました」だの「意外とお若いんですね」だのといった
社交辞令を頂いてしまったことを、かなり気にしている様子であった。
当人や当人を良く知る知人(私を含む)などに云わせてみれば、彼の言動などは
お馬鹿な若者以外の何者によるものでもあり得ないのだが、XMLのメーリングリストの
愛読者諸氏にとっての大友某の文章はそういうものでは無かったらしいとか
そういうことである。

それにしてもアレだな。
オヤジ臭い文章というのはちょっとどうかと思うぞ大友某。
しかと反省し、今後は若々しく生命力に溢れた躍動感ある文言を綴れるよう
精進すべしである。
私の文章とか、是非見習い給え...って、自信はあまりないが。

ところで私の愛機ヴァイヲ、なんか起動しなくなっていますがナゼデスカ。大友某。
しくしく。

雨谷の庵は今日も雨。
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管理者:徳田雨窓