雨谷の庵

[0100] 白桃の日なのだ (2000/08/07)


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モモということでひとつ。

さて、今私の目の前には桃があるというわけである。
毎年のこの時期になると、実家から桃を送ってきやがるのである。
私はあまり桃が好きではないのだが、そういう抗議の声を全く無視するかのように
毎年桃が送られてきてしまうのである。
10個ぐらいあるな。1日1つ消費するとしても1週間以上かかる。悪夢だ。
去年も確か、もう送らないでくれと言っておいたはずなのだが。
もしかしてボケてるのか、かーちゃん。

それはともかく、桃である。
おじいさんが山へ柴刈に、おばあさんが川へ洗濯に行ったりしてしまうと、
上流とかいうところからドンブラコッコスッコッコと流れ下ってきちゃったりとか
そういう物体に他ならないところの桃である。
この桃という奴、実は生意気にもいくつかの種類があったりする。
桃のくせに。桃の分際で。
とりあえず、簡単に紹介しておこう。

白鳳
 中玉品種で繊維が少なく日持良好。甘味が多くて酸味が少ない。

紅清水
 岡山で昭和58年に種苗名称登録された新品種。
 中生種で果実は大きく、淡い桃色に着色。肉質、日持良好、甘味も多い。

大和白桃
 果肉は緻密で軟らかく、繊維が少なく多汁。酸味が少なく甘味が多い。

清水白桃
 岡山で昭和11年に発見された品種。
 果肉は緻密で多重。酸味、渋味ともなく甘味が多い。

白桃
 岡山で明治32年に発見された品種。
 肉質はやや堅くしまり、完熟すると軟らかくなる。繊維、酸味少なく、甘くて多汁。

黄金桃
 果肉は緻密で軟らかな食感。甘さも多く美味しさを引き立てています。

以上、実家から送られてきた桃の箱の中に添付のJA岡山経済連発行のパンフレット、
「岡山の桃」から抜粋である。
であるからして、説明文から岡山で発見された桃に妙なこだわりを感じるのは
この際ご容赦頂きたい。

さて。
上記の説明で気になるのはやはり甘味であろうか。
見ると、「甘味が多い」「甘味も多い」との2種類が有る。
「甘味が多い」というのはまあ説明としては許容範囲である。
何しろ桃なのであるから、その主たる摂取目的には甘味が謳われていることが
多いであろうとの推測が成り立っても何ら不思議ではないと思うからである。
分からないのは「甘味も多い」の方である。
「も」である。「も」なのだ。
「も」を付けた文章が意味するところのものは即ち、甘味以外の何モノかもまた多いという
事実であろう。
甘味以外に何が多いというのだ紅清水。
塩味であろうか。そんな桃はイヤだ。
渋味であろうか。それって不味いってことか。
それとも何か。未だ誰も味わったことのない宇宙的な味がするとでも
主張しているのであろうか。
ちょっと恐ろしい桃である。紅清水。

黄金桃もちょっと良く分からないことになっている。
まず、「甘さも」と来ている。
紅清水と同じく、「も」であるのだ。甘さ以外の何モノかもまた同じく「多く」含まれて
いるのではないかとの想像をかきたてて止まない説明である。
しかも黄金桃の場合さらに、「美味しさを引き立てています」と書いてあるのだ。
美味しさが引き立っているのだ。
この引き立っているという表現であるが、何か目立たないものが別のもっと目立たないものと
比較されることによって比較的目立っているような場合に用いられると思うわけであるが、
もしそうだとすると、この黄金桃の説明はこんな感じに解釈することも可能である。

「甘さと甘さ以外の何モノかがたくさん混ぜこぜになったような味がするんだけど、
 それらのお陰で本当はあんまり美味しくないこの黄金桃本来の美味しさが
 なんとなく強調されちゃったりしてまあ、食べられなくもないとかそういうことっす」

それで良いのか黄金桃。そんなことで君の人生は満足なのか黄金桃。

いずれにせよ、糾弾されるべきはこのパンフレットを作成した
JA岡山経済連であるかもしれない。
8月8、9、10日は「白桃の日」だとか妙なことを言ってる場合かコラ。
8、9、10で「ハ、ク、トウ」。
であるからしてこの3日間をもって白桃の日なのだそうである。いい加減にしろ。
だいたいなんで8月限定なのだ。
JA岡山経済連の主張を論拠に採るならば、年がら年中毎月8、9、10日は白桃の日と
すべきではないのか。
だいたい白桃だけを特別扱いするような日を定義することに君等は何ら疑問を感じないとか
そういうことなのか。
紅清水や黄金桃の日はどうなのか。
祝ってやらなくて良いのか。
いや、勿論白桃の日だからといって、白桃を祝ったりはしないのであるが。

ちなみに7月、8月は「岡山もも月間」だそうである。
聞いたこと無いぞ。ホントかそれ。
いやいや、ちょっと待つがいいさ徳田。
もしかすると毎年この時期になると実家から桃を送ってくるというのは、
件の「岡山もも月間」のせいなのか。
県外に出て行ってしまった元岡山人に桃を強制的に送りつけることによって、桃による
日本征服を企んでいるとかそういう事なのかも知れない。
もしかして悪の秘密結社かJA岡山経済連。

恐怖、岡山桃星人。
洒落になってないから嫌過ぎる。

雨谷の庵は今日も雨。
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管理者:徳田雨窓