雨谷の庵

[0089] 穴が開いているだけに (2000/06/12)


[Home]
締めて3000円くらいの出費である。

私は友人知人の間では服を買わないことで特に有名であるらしい。
何しろ、この1年間に服の為に費やした金額はわずかに1万円弱
なのである。
ちなみにこの1年間にパソコン関係に費やした金額は10万円くらい
であるから、パソコン:服率は10:1とかそういうことになる。
ちなみにこの1年間にAV機器関連に費やした金額は100万円くらい
であるから、AV機器:パソコン率は10:1とかそういうことになる。
この奇妙な一致をもって何を悟るべきかは定かでは無い。
いや、悟れよ徳田。無駄遣いヤメロって。
食費をいくら削ったところで、このテイタラクではお金が貯まろうはずも無い。
しくしく。

さて、それはどうでも良いのだ。
私がどんなに貧乏臭い生活を送っていようとも、この文章を読んでいる読者の
皆様には全くの関係の無いことである。
そう、気にしてはいけないのだ。
無駄遣いの何処が悪い。ちっとも悪くない。いや、逆に良いことかもしれない。
そうだ、良いことだよ。良いことに違いない。良いことだ。
なんだ。全然気にする必要無いではないか。めでたしめでたしである。
なんか違う。

さて、それも別にどうだって良いのだ。
とにかく今は、私が服を買わないことについてである。
ちなみに、前回私が服を買い求めたのはちょうど1年前くらいである。
袖なしの夏用上着が欲しくなったので買ったのだ約6000円。
それ以来、服は買っていない。
ズボンは学生時代に買ったジーパンと、3年ほど前に買った綿パンの2着を
交替で履いている。充分だ。
Tシャツは2年ほど前にBeから買ったBeシャツと、親から貰った黒い奴が
2着も存在している。充分だ。
長袖に至っては学生時代に買ったタートルネックの厚手のものが1着ある。
充分だ。
セーターなどは、高校生の時にサンタクロースから貰ったものをいまだに
愛用している。白い厚手の1着だ。もちろん充分だ。
ちなみに背広は大学の入学祝に貰ったのが1着、会社の入社祝いに貰ったのが
1着、そして何故か昨年貰ったものが1着。合計で3着も存在する。
自分で背広を買ったことは1度も無いが、3着もあれば困ることは無い。充分だ。

ここまで読んだ方ならもうお分かりであろう。
そう、充分なのだ。
衣食住が足りて人は初めて文化的であると言えるとかなんとかいうことを
いつか何処かで聞いたような気がするが、その最初の構成要素であるところの
「衣」は、私にとって充分なのである。
充分なものをこれ以上充分にすることはできないし、する必要は勿論無い。
第一、充分をこれ以上充分にしてしまったら、それは充分ではなく超充分ではないか。
超充分とかいうものが一体どのようなものであるかについて私は寡聞にして
知見を持たないが、きっと恐ろしいものに違いない。
恐怖、超充分星人。そんなのはイヤだ。

ところでそんな服を買わないところの人である私にとっても、一つの現実的な
問題に直面してしまうということはあるのである。
それは靴下の穴である。
靴下に穴が開いてしまうのだよワトソン君。
そう、穴だらけなのである私の靴下は。
一番穴が開きやすいのは足の親指の先である。
どうやら、爪に引っ掛かることによってその寿命を大幅に縮めているようなのであるが、
これは私にはどうしようもない。
足の親指の爪は伸びるものであるし、靴下はそれに引っ掛かるものなのである。
私はこうした靴下を穴の部分を小指の先になるようにして履くことにしている。
こうすれば、親指の箇所であったところに開いた小さな穴はそれ以上広がることなく、
靴下の症状悪化を阻止できるからである。
しかしである。
こうして逆に履いたとしても、親指の爪の悪逆非道ぶりを根絶するには至らない。
何しろ、今度は逆にした部分、つまり今までは小指の先に位置していたところの
靴下の先が、親指の爪によって穴を開けられてしまうからである。
こうなるとどうしようもない。
靴下の先っぽの左右両側に開いた二つの穴は、私が交互に親指の先に持ってくる度に
その大きさを広げ、ついには足先全体が飛び出てしまう一つの完成された穴としての
成長を遂げてしまうのだ。
ま、それでも私はその靴下を履くのだが。

通常、靴下は靴の中に隠れているものであるから、穴が開いていようと黄ばんだ染みが
付いていようと、誰も気にはしない。
しかしながら、時折靴下を衆目に晒さねばならぬ時が来ることがある。
宴会で、和室に通された時などがそういった時だ。

「徳田君。なんだねそのミョウチキリンな靴下は」
「あ、これは部長。ま、その気にしないで下さい」
「気にするなと言う方が無理だろう。君は靴下も満足に買えないのか」
「いやこれはですね部長。足先の自然な感触を最大限に重視した設計の靴下で...」
「嘘を言うな」
「いや、本当ですよ。名前も穴が開いているだけにアナーキー」

寒っ。
とまあこういった具合に、和室に通されるたびに苦しい駄洒落を言わなければ
ならなくなるのである。
いや、別に駄洒落を言う必要は無いが。
ということで、靴下を買うことになったわけである。
実に5年ぶり。
学生時代に買った靴下も、ここでその役目を終えたとかそういう事である。
今までありがとう私の可愛い靴下達よ。
安らかに眠れアーメン。

ところで。
実は私のパンツにも寿命が来ているようなのである。
何しろ穴が開いているのだ。
何処に開いているのかは内緒である。
もしくは次回の講釈にて。
ネタにする気か徳田。

雨谷の庵は今日も雨。
< Back |List| Next >
管理者:徳田雨窓