雨谷の庵

[0077] お可哀想な桜井敦子様 (2000/05/05)


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まあ、ある意味これも手抜きと言えなくもないが。

川原泉という漫画家がいる。
氏の作品としては、今手元にあるだけでも、

・バビロンまで何マイル?
・フロイト1/2
・美貌の果実
・メイプル戦記
・笑う大天使(ミカエル)
・本日のお言葉

といった面々が並んでいたりする。
ちなみにこれらは文庫版であり、コミック本という形のものではないので
予めご了承いただきたい。
とはいうものの、そんなことを気にする方はこの庵には来るはずもないような気が
しないでもないので、私などは最初から気にしていなかったりもするのであるから、
こういうお断りをしておく必要など鼻毛の先ほどにもなかったと言っても過言では
なかったりするかも知れないが、まあそれはどうでも良かろう。
なら書くなよ徳田。

さてこの川原泉という漫画家、ズバリ駄目である。
何が駄目かというと、それはもうすべてである。
私は、氏こそまさに駄目人間であると主張するにやぶさかでない。
ここに氏の駄目駄目ぶりの例として、「本日のお言葉」の巻末に掲載されている
氏へのインタビューを引用しよう。

「川原はあまり出歩くのが好きではないのです」
「じゃあ、ずっと部屋の中にとじこもってるんですか」
「今年の三月などは生ゴミをだすために外に二度でたきりでした」
「・・・・」
「そういえば、四月も外に出た記憶がない」
「食事の買出しには」
「編集さんかアシスタントが買ってきてくれるのです」
「ひとりのときもあるでしょう」
「コメがあればなんとかなります」
「コメがきれたときは」
「コメ屋に電話します」

ううむまさに駄目人間。素晴らしすぎて、二の句が継げません。
まあ、漫画家の大部分はもしかすると駄目駄目なのかも知れないので、
注意は必要かもしれないが。

ところで。
氏の漫画を読んでいて、あることに気づいたことをここで皆様にご報告したい。
それは桜井敦子様である。
件の桜井敦子様はT銀行の頭取令嬢で齢は妙齢の20代、スイスのお嬢様学校を
ご卒業されていたりもする、お嬢様の中のお嬢様とでも呼ぶに相応しいお方で
あったりする。
ちなみに、美人であるうへへ...いや、それは別にどうでも良いのだこの際。
今ここで私が問題として採り上げたいのは、この桜井敦子様、
私が持っている氏の作品の作中に、実に3回もご登場になっていたりするのである。

・「笑う大天使」では司城一臣のお見合相手としてご登場。
・「フロイト1/2」では瀬奈弓彦のお見合相手としてご登場。
・「メイプル戦記」では小早川秀明のお見合相手としてご登場。

すべてお見合相手としてのご登場である。
しかも、すべて振られてしまうのである。
「笑う大天使」では司城一臣の妹のせいで振られ、「フロイト1/2」では
高校を卒業したばかりの小娘に負けて振られ、「メイプル戦記」では
なんとオカマのピッチャーに負けて振られてしまうのである。
さすがです桜井敦子様。そのお見事な振られっぷり、素晴らしすぎます。
てゆーか、これはひとえに川原泉氏の手抜きなのではないかと私は
思っていたりするわけである。
お見合相手として出すキャラクターを考える手間を、面倒くさいので省いている、
事実とはおおむねそういったところに落ちつくものなのであるかも知れないではないか。
何しろ氏は駄目人間である。
そういった手抜きを実行することに喜びを覚える類の人類かも知れぬ。
いや、きっとそうに違いない。

「あ〜〜、ここでこいつにお見合とかさせるとお話盛り上がるよねぇ〜〜」とか、
「でもお見合相手って、考えるの面倒くさいよねぇ〜〜」とか、
「まあでも桜井敦子様がいるからいいかぁ」とか、

そういったことを呟きながら、氏はことある毎に桜井敦子様を使い回し、己の暗い
喜びにニヤニヤ笑いを浮かべているに違いないのだ。
そう、つまり桜井敦子様は、駄目人間な氏の心ない仕打ちによって、
見合いで振られ続けるという悲劇の脇役としての重く苦しい十字架を
背負わされてしまっているのである。
ああ、お可哀想な桜井敦子様。
徳田は貴方の隠れファンです。
これからもその重く苦しい屈辱的な恥辱まみれの耐え難い十字架に
押し潰されまくって下さい。
...って、とてもファンとは思えないぞ。徳田。

まあそれはともかく。
とにかく、桜井敦子様の例を見るまでもなく、川原泉氏の作品には諸処に
手抜きと思わしき部分を散見することが出来たりする。

・「メイプル戦記」と「甲子園の空に笑え」の監督は同じ。ただし続編という説有。
・「笑う大天使」の舞台の聖ミカエル学園は、「メイプル戦記」でも出てくる。
・「フロイト1/2」の作中に「怒るミカエル」というゲームが出てくる。

皆様も機会があれば是非、氏の手抜きぶりを味わって頂きたいものである。
氏の駄目ぶりが心地よいほどに駄目駄目であり、私はお気に入りである。

ううむ。なんだか今日は川原泉特集だな。まあたまにはいいか。

雨谷の庵は今日も雨。
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管理者:徳田雨窓