雨谷の庵

[0058] 誰もがみんな知っている (2000/02/29)


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ま、何はともあれ商売というのは大変です。

私の奇人変人知人であるところの浜中某(仮名)と、仮面ライダーの話をした。
仮面ライダーと言っても、1号とか2号とかの話ではない。
勿論V3やXやアマゾンやストロンガーやスカイライダーやブラックがRXだったり
とかいう話でもない。
いわんやライダーマンをや。
もう一人か二人いたような気もするが、気のせいか。
あの腕が赤だったり黄色だったりと取替え可能な仮面ライダーって、
なんという名前だったか。
ところでノリダーは全然関係無いので却下である。

それはともかく。
先月末頃から、仮面ライダークウガとかいう新番組が始まったのであった。
日曜日の朝8時からやっている早朝番組である。
ちなみに以前のこの時間帯ではロボコンをやっていた。
私の別途の知人であるところの柳某(仮名)はこのロボコンを毎週欠かさず
見ているというちょっと大きなお友達だったりするが、気にしてはいけない。
柳某(仮名)が毎週日曜日の朝っぱらから、ロビーナちゃんがどうしたとか
ロビーナちゃんが可愛いだとかブツブツと呟いていたりしたとしても私の
管轄下ではないので知ったことではなかったりするのである。怖いよぉ。しくしく。

それもともかく。
件の仮面ライダークウガ、今までの仮面ライダーとはちょっと趣が違っていたりする。
まず、悪の秘密結社というものがまだ登場していない。
悪の秘密結社と言うとアレである。
ボディにピチピチとフィットした黒地に妖しい文様のタイツで全身を覆っていたり、
「イ〜〜〜」とも「エ〜〜〜」ともつかない奇声でもって通常会話のすべてを
まかなってみたり、意味も無く現れては一般人にやっつけられたり、
そのくせ何人死んでも全然数が減らなかったりという、例の奴である。
通常、仮面ライダーというものはそのちょっと人としてどうかといったような
秘密の結社の改造人間であるのだと私は認識している次第である。
悪の秘密結社を裏切ったりとか逃げ出したりとかといったそういった何とも
後ろ暗い過去を持ちつつ闘い続けるところが仮面ライダーが仮面ライダーで
あるところの本質に最も近いのではないかと私は愚考して止まない。
もう一つ忘れてならないのはその正体を他人に知られてはいけないことであろうか。

 ♪どこの誰だか知らないけれど
 ♪誰もがみんな知っている。

とかいうアレである。
これは古代は月光仮面の御世から定められた、正義の味方の鉄則であると私は
思い込んでいたりするのである。
例え身近に自分の身を案じてくれる恋人が居ようとも、その正体を知られては
ならないのである。
自らの苦悩と闘いの日々を切々と語って聞かせたいとしても、
我慢せねばならないのである。
このような、苦しく葛藤に満ちた人生を送ってこそ、仮面ライダーは仮面ライダー
足りうるのではないかと、私は主張したいと思うのである。

しかしながら顧みて仮面ライダークウガはどうか。
まず、かのライダーは改造人間ではない。
あまり詳しくは見ていないのでよく分からないが、どうも秘密結社とかいうものが
存在しないらしいのである。
仮面ライダーに変身するきっかけも改造ではなく、古代の遺跡から拾ったベルトを
能天気にも装着してしまったことに因るのであるらしい。
しかもである。
その主人公がその正体を秘密にしているかといえばそうではなく、なんとのっけから
恋人にはバレるは行きずりの刑事にはバラすわで、どうもちょっと様子がおかしい。
これは一体どうしたことか。

「やだなぁ徳田さん。能動的で良いじゃないですか」

何だその感想は浜中某(仮名)。日寄ったか。裏切り者には死を。
・・・まあよい。別に私は真剣に見ている訳ではないのだ。
ところで。少し気になっていることが有る。
それは番組の始まるタイミングである。
通常、テレビ番組などは1年52週間を4つに区切り、13週間を一区切りとして
番組の入替えを行うことが多い。
つまり、1月、4月、7月、10月は番組再編の時期なのである。
こうした時期に、スペシャル番組が多いのはそのためでもある。
ところが件の仮面ライダークウガは1月末というなんとも中途半端な時期に
スタートとなっている。
これはどうしたことか。やっぱり悪の秘密結社がないからか。

「やだなぁ徳田さん。そんなの常識じゃないですか」

何だその嫌な笑い方は浜中某(仮名)。

「仮面ライダーとかって、要はお子様番組じゃないですか。だからですよ」

浜中某(仮名)の解説によれば、こうである。
通常、仮面ライダーなどのヒーロー番組はだいたい2ヶ月をかけて登場人物
の紹介を行う。つまり、すべての人物が登場し終えて話が前半の山場を
迎えるのが大体3月末というわけだ。
3月末。それは、入学だの進級だのといった、学校関係者にとっては
新年度間近の購買期である。
更に進んで物語りが中盤を迎える頃、世間には夏が訪れて学校は軒並み
長期休暇に突入する。
つまりヒーロー番組も夏休みに合わせて話を盛り上げるのだという。
一説には、最近のヒーロー番組では敵のレベルが一気に倍増になる現象が
中盤で見られるが、それは前半を闘った敵を一挙にお払い箱にし新たな敵を
導入することで、新しい玩具を売るための地盤を固める意図があると言われている。
そう言われてみれば、主人公の敗北と復活、新たな武器の獲得といったイベントも
この時期には欠かせないモノかもしれない。
さて。やがて冬になりクリスマス商戦真っ只中。
その頃にはいよいよ番組も終盤戦を迎えており、敵の巨大ボスだの主人公の
新兵器だのも既に出揃い尽くすこととなる。
ここで玩具を作る側としては在庫を一掃せねばならぬわけで、これ以降に
新しい敵や新しい武器を番組で出してもらっては困るのである。

結局、年明け以降は番組はまとめに入ることになり、1ヶ月経ったところで
大団円を迎える・・・とまあこういう筋書きなのであると、浜中某(仮名)は
とくとくと語って聞かせてくれたのであった。
う〜〜むなるほど。
しかし、そんな妙な知識を常識と言い切る浜中某(仮名)はやはり人として
ちょっとどうかと思うわけである。聞いてるか?浜中某。

雨谷の庵は今日も雨。
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管理者:徳田雨窓