雨谷の庵

[0043] 45年間不動産屋をやっている (2000/01/11)


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成人の日は国民の休日である。

知らなかったのである。
何を知らなかったのかといえば、成人の日のことである。
毎年1月の15日にやってきていた、あの成人の日である。
地元の市役所で成人する方の為の式典が催されたり、それにかこつけて
娘御が振り袖などを着込んでみたり、ついでに高校の同窓会をやってみたり
といった、様々なイベント盛りだくさんの成人の日である。

なんで今年から10日なのだ。成人の日よ。
いや、正確には1月の第二月曜日が成人の日であると、手元のカレンダー諸氏は
主張しているようである。
無粋ではないか。成人の日よ。
某月の第ナントカ週の何曜日が何々の日であるというものには、母の日であるとか
父の日であるとか、そういう輩が鎮座しているのである。
そこにちゃっかりと仲間入りを果たしてしまおうというのか成人の日よ。
なんという不埒な。恥を知れ。成人の日よ。
などと妙に憤ったりしているのは、私がつい先週まではこの成人の日の
卑劣なる変貌に気づきもせず、出社してしまいそうになったからでは決してないので、
そこのところはご理解いただきたい。
はっはっは。そんな恥ずかしい無知なる行為を、この平凡人たる私がしてしまうことなど
あろうはずもないではないか。愚問である。ちくしょう。しくしく。

さて、そんなこんなで突然三連休が降って沸いてきたのである。
まさに天の恵みとかいうものかもしれぬ。ただの間抜けという噂もあるが、
気にしてはいけない。
ということで急遽、来月からの勤務先である東京へ赴き、下宿を探すことにした。
思い立ったら、それはきっと吉日なのである。

ちなみに私は東京での下宿探しにはトンと自信がなかったりする。
何しろ東京に住んだことは一度もないのだ。
知っている場所といえば、秋葉原と東京国際展示場くらいしかない。
東京タワーすら、どれが本物なのかさっぱり分からないといった体たらくである。
そこで東京に在住の知人、垣ノ木某にご助力を願うこととした。
「そうか。こっちに引っ越してくるのか。それは間違いなく左遷だな」
五月蝿い黙れ。私が今問題にしているのは、下宿探しである。

垣ノ木某によると、住みたい場所の候補を絞った上で、その近辺の地元の
不動産屋を徹底的に回れば、何かしら掘り出し物物件が見付かるやも知れぬとの
ことであった。
実際、垣ノ木某は1DKのBT別空調付の部屋に、6万円以下で暮らしている。
新宿に近い都内でこの条件だと、破格なのだそうである。
ううむ。大阪よりは1〜2万円ほど高いであるな。東京の相場という奴は。
ということで、私は歩き回ったのである。
いわゆる、足で稼ぐという奴である。
してみると、結構不動産屋が見つかるではないか。
しかも、その店頭にはなかなか安そうな物件が貼り出してある。
しめしめこれはナントカなりそうだなどと、余計な皮算用が頭に浮かびはじめて
いた私は、やっぱり甘かったのである。

「う〜ん。それはもう無いんだよねぇ」
今、私の目の前にいるのは、齢70は超えているのではないかと思われる老不動産屋である。
上記は、私が店頭に貼り出されている物件について問うたときの言である。
そうっすか。もう無いんすね。じゃ、こっちはどうっすか。
「う〜ん。それももう無いんだよねぇ」
なんじゃそりゃ。
「私ももう45年間不動産屋をやっているんだけどねぇ」
ほほう。凄いではないか。やるな爺さん。
「店頭の広告を本気にする人ってぇのも、珍しいねぇ」
なるほど。珍しいのであるか・・・って、ちょっと待て爺イ。

どうやら、不動産屋の店頭に貼ってある物件というのは客寄せ用の広告で、
それは嘘八百の口から出任せなのだそうである。
何ということであろうか。それではまるで政治家や雑文書きの類と何ら遜色無いではないか。
恐るべしである不動産屋。JAROに訴えてやる。覚悟しとけ。
って、私が世間知らずなだけなのではあるが気にしてはいけない。

で。
結局、私は某アパマンとかいう雑誌に載っている物件を採用することにした。
ちょっと高めだが、記載に偽りなしであったので許す。
共益費コミで8万円か。来月から更なる貧乏の予感が。
恐ろしいことである。しくしく。

雨谷の庵は今日も雨。
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管理者:徳田雨窓