雨谷の庵

[0035] 黄門様も洗浄済み (1999/12/18)


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トイレの壁面に、不思議なものが貼ってあるのを目にした。

ウォシュレットなる物をご存知であろうか。
そう。アレである。
西洋式便器に器械による仕掛けを施し、電動式の水流発生器で以って
使用者の尻を洗浄する為の仕組み、及びその製品名である。
うむ。尻というのは不正確な表現であるな。
正確には黄門様である。
この表現は、控えおろぅ、とかいう印篭付爺いを用いた隠喩である。
駄洒落とも言う。もちろん過言ではない。
うぉほん。バツが悪いので咳払いなどしてみる。げほげほ。

さて。
件のウォシュレットは、私のお気に入りである。
実のところ私は元々痔持ちであるので、お尻の清潔は大事なのである。
不潔は痔によくない。覚えておき賜え。
痔によくないものは多々あるし、それに関する私の知識には並々ならぬものが
有るのであるが、これ以上この雑文が下々じみた雰囲気になってしまうのは
不本意であるので割愛させて頂く。
ただでさえおバカな私の文章に、下品な趣が加わってしまうともう救いようがない。
いや、もともとどうしようもないのはもちろん事実であるが。

とにかく今回私が世に問いたいのは痔や黄門様の類の話ではなく、ウォシュレットの
使い方説明についてなのである。
であるから、これ以上脇道にそれるのは止めて頂きたい。
って、誰に言っているのか。私か。自問自答。
何だか話が先に進まなかったりする。
とにかく以下が、その問題のウォシュレットの使い方説明である。

 1. 便ふたを開ける
 2. すわる
 3. 用をたす
 4. 洗浄する / SPRAY
 5. 止める / STOP
 6. トイレットペーパーで水滴をとる
 7. 立ち上がる
 8. 水を流す
 9. 便ふたを閉める

私はこれをトイレの壁面にて発見した。貼り付けてあったのである。
これはちょっとどうかしているのではないかと思うわけである。
そもそも、使い方の一番始めが「便ふたを開ける」とはいかなる所業か。
そんな事はわざわざ言われなくても分かっているというものであろう。
それともアレか。何処かの某かが蓋を開けずに用を足してしまったとか、
そういうあまり考えたくないような奇行を披露したとでも言うのであろうか。

「すわる」というのも余計なお世話である。
故あって、大きな方ではなく小さな便を排出する場合もある訳である。
そういう時でも、私に座れと言っておるのであろうかこの説明文という奴わ。
面倒くさいではないか。私は断じて小便は立ちながらにして行う所存である。

更に奇怪なのは「用をたす」という下りであるように思う。
なにか。便所にて便を排出もせずに帰ってしまうような、
不逞な輩がいるとでも言いたいのであろうか。
もちろん世の中には煙草を吸ったり自慰行為に及んだり、果ては生殖活動に
精を出しまくったりする為だけに便所をご利用頂いているという、
人間としてちょっとどうかと思われる方々もいるのであろう。
しかし、これは、この説明文は便器の使い方説明であり、便所の
使い方説明ではないはずである。
であるからして、便器を使用する者は全てにおいて便をもって用をたす
ことを大前提として採用すべきなのではなかろうか。

これ以上は、私もこの奇怪無類言語道断蒙昧無知なる説明文を
糾弾しようとは思わない。
「立ち上がる」や「便ふたを閉める」といった部分にも苦言を呈したい
気持ちはなかなかに押さえるのも困難であるが、ここはぐっと我慢の
大きなお友達である。世間的に見れば、私ももう大人なのであるしな。

それよりもである。
用をたしながらこの説明文を熟読してしまい、あまつさえ大きな声で
笑い転げてしまったこの私の醜態にたいして、どのように責任を
とるつもりであるのか、そこのところをぐぐいと確認しておきたい。
なにしろ大笑いしてしまったのだ。
便所中に私の馬鹿笑いが響き渡ったのだ。
気持ち悪い光景ではないか。便所の個室から響いてくるお間抜けな笑い声。
便所の花子さんも素足で逃げてしまいかねない。
会社の七不思議の一つ目とかに、「便所で笑う幽霊」とかいう
「実はそれは私なんですエヘヘ」的なものが追加されたりしてしまうと、
平凡な人生を歩んでいるつもりの私のアイデンティティというものが
絶体絶命の危険なピンチにさらされかねないというのも決して
過言ではないと思うのであるが、いかがなものであろうか。

まあこれくらいで今日のところは勘弁してやろう。説明文よ。
次回はもうちょっと私の笑いを押さえる為の工夫を凝らすべしである。
よいな。
さて。用も済んだことであるし、黄門様も洗浄済み、水滴も拭き取ったので
あるからして、今こそ便所から立ち去るべしであろう。
ちゃんと便ふたは閉めておかないとな。水を流した後に。ざざぁ。

雨谷の庵は今日も雨。
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管理者:徳田雨窓