雨谷の庵

[0028] クリスタ長堀は地下商店街 (1999/11/30)


[Home]
クリスタ長堀で、それは起こったのであった。

大阪は長堀鶴見緑地線の直上、堺筋から四ツ橋筋までの区間に、
クリスタ長堀なるミョウチキリンな名称を与えられた地下商店街が存在する。
読者の方々は、そこの床に埋め込まれている謎の物体をご存知であろうか。
いや、もちろんご存知でないということはよく解っているのであるからして、
ここは一つ知らぬ存ぜぬと潔くお答え頂きたい。

そんな無知を地でいく読者の方々の為に解説しよう。
その謎の物体は、白い色をしているのである。
しかもそれは真四角であり、一辺の長さはおおよそ5cm程である。
ちょっと見には床の模様の一部かとも思えるそれは、その真の存在意義を
人に知られることなく、黙々と床に埋まっているのである。

しかしそれは昨日までの話である。
今日、本日、今、そこで。
なんとその謎の物体は、生意気にも光っていたのである。
謎の物体の癖に。謎の物体の分際で。謎の物体でありながら。
それは不気味なリズムに合せるかのように、薄緑色のなんとも
爬虫類っぽい薄明かりをピカリピカリと放っていたのである。

これは一体何事であろうか。
「非常口はこちらです。非常口はこちらです・・・」
私はもちろん平凡人であるので、こういった超常現象を目の前にして、
慌てふためき驚き慄くことに、やぶさかではない。
「非常口はこちらです。非常口はこちらです・・・」
んん?なんだかさっきから騒がしいな。
「非常口はこちらです。非常口はこちらです・・・」
それはもうええちゅうねん。

どうやら、地下商店街の館内放送が、先ほどから鳴りっぱなしのようである。
ふむ。ということはであるな。
どうやら床のこの謎の物体の光は、非常口へ人々を導く為の案内灯であるらしい。
クリスタ長堀は地下商店街である。
非常時に電気系統がダウンした場合など、暗闇の中で非常口を
探し出して避難せねばならないケースも有るであろう。
つまり件の謎の物体は、そうした時の為に設けられた仕掛けの一つであったのだ。
うむ。ここで一句。

 謎物体 正体見たり 案内灯 (徳田雨窓)

そのまんまであるな。まあよいではないか。気にしてはいけない。
しかし、よくよく考えてみると、これは非常事態なのではないだろうか。
何しろ、謎の物体がその正体をさらす危険を冒してまで私を非常口へ
案内しているのである。

もしや火事か。さては地震か。いや、サリンか。
もしかするとアレか。獣人帝國バグーからの新たな刺客が出現したとかいう奴か。
ここは大阪であるし、有り得ないことではないであるな。
きっと今頃、各務は御堂筋線の電車内で足踏みをしているに違いない。
急げスピードマン。大阪の平和が絶体絶命の危険なピンチだ。
闘えスピードマン。もしかすると私の命も風前の消えかけた灯火だ。
などという馬鹿なことを考えている場合ではなかったな。
しかも他のサイトのパクリだし。
とにかく状況を確認せねば。
私は近くにいた作業着らしき服装の男性に問うた。

「あのぅ。何かあったんですかぁ?」
「え?ああ、避難訓練ですよ」

避難訓練は実際に起こった時の事を想定して、真剣に行うことが大切だぞ。
とにかく、こうして私の身の危険は回避されたのであったと言っても
過言ではない。じゃ。

雨谷の庵は今日も雨。
< Back |List| Next >
管理者:徳田雨窓