雨谷の庵

[0010] 大いなる運命のいたずら (1999/10/12)


[Home]
世の中は広いと見えて、案外と狭いものである。

私は常々自らのことを凡人と称し、「冷めたピザ」などと論評されようものなら
タンゴのステップで喜んでみたりするのであるが、どういうわけか私の知人友人連中には、
奇人変人の類が多いように思えてならない。
「類は友を呼ぶ」との故事に習うならば、私の周囲はさながら冷え切ったピザ畑の様相を
呈してもよいはずであるが、世の中なかなかそうはうまくいかないものであるらしい。
それら知人面した奇人変人どもは事ある毎に、奇行変態に分別されるべき行為を
披露してくれるものであるから、私は今まで馬鹿話のネタに困ったことがない。
奇人変人とはいえ、その交友関係にも多少の御利益はあるものである。
「情けは他人の為ならず」とでも言うべきか。

浜中氏(仮名)もまた、常軌を逸することの得意な思考回路の持ち主である。
生っ粋とも言うべきオタクであり、尊敬に値するほどのロリコンでもある彼は、
モグリでオタクの真似事をしている私などは到底及びもつかない境地を独り、
今日も漂い続けている。

さて、そんな浜中氏の最近のお気に入りのアニメーションは
「おじゃ魔女ドレミ」というものである。
日曜日の早朝8:30から放映されるこの番組は、今や日本の伝統芸とも言える
魔女っ子もののアニメである。
対象年齢は幼稚園児から小学生であろうか。
メインのキャラクターは3人の女の子で、ごく普通のおバカな小学生である。
ただ、変身すると魔法が使えてしまったりするのであるが。
「僕にははずきちゃんがいるからいいんですよ」
「最近、はずきちゃんは主役なんですよ」
「はずきちゃんはギャグをやっても可愛いんですよ」
いや、はずきちゃんとやらの魅力をそのように熱弁されても、私にはトンと
理解不能なので、止めて頂きたい。
・・・とまあこのように不肖な私では、彼の話相手としては全く役に
立たなかったりするのである。

今年の夏コミに、浜中氏は行くことができなかった。
幸いにして私は遊びに行くことができたので、彼にお土産を買うことにした。
もちろん、おじゃ魔女ネタの同人誌である。
私が思っていたよりもこのジャンルは人気がある様子で、かなり容易に数冊を
購入することができた。
私はそれらを彼に送付、任務を無事に終了した。

数日して、浜中氏からお礼のメールが送られてきた。
「送ってもらったドレミの同人誌ですが、中の一冊を作ってたのが、
 ななななんと僕の高校の時の部活の先輩だった。
 ここここれは大いなる運命のいたずらなのかッ?
 それともあなたは私の秘密を知っているのかーッ!?」

いや、私がそんなことを知っているはずがないではないか。運命の奴も、
君ごときにわざわざいたずらをするほど暇ではないと思うぞ。
これだから世の中という奴は。まったく。

雨谷の庵は今日も雨。
< Back |List| Next >
管理者:徳田雨窓